スマートフォンが普及したことで、簡単な計算から複雑な計算まで、「自分の頭を使うことなく」結果をはじき出すことができるようになりました。
しかし、多くの識者が「自らの頭で計算することを放棄するべきではない」と述べ、デジタル時代に数字に疎くなる危険性を指摘しています。

BBC - Capital - Why it matters if we become innumerate
http://www.bbc.com/capital/story/20180706-why-it-matters-if-we-become-innumerate

日常生活は「数字」を取り扱う機会であふれています。例えば、料理本に載った4人分のレシピから6人分の料理を作る場合など分量を適切に調整するときに計算は不可欠です。
また、ポイント還元される商品とそうでない商品の価格を比較するのにも計算は必要です。このような簡単な計算だけでなく、住宅ローンを組む場合や、
退職金や年金を考慮して将来の生活設計を立てたりする場合など、人生を左右しかねない比較的複雑な計算をする必要性もあります。

日常生活での不便だけでなく、国家レベルで見ても数学力の低下は大きな問題です。国民の計算スキルと失業率・生産性・健康の間には相関関係があるという研究があり、
国民の数学の能力の低下は国際的な競争力の低下を意味するという見解もあります。それにもかかわらず、イギリスのNational Numeracyの調査では、
イギリス人の計算能力は年々、下がる傾向にあるとのこと。初歩的な計算レベルを示す「GCSEテストのCグレード」以上の計算能力を持つイギリス人は、
2011年までに22%まで減少しており、危機的なレベルにあります。これは、EUを離脱するイギリスにとっては死活問題になりかねないという懸念の声があるほどです。

このような計算力の低下を危惧する意見に対しては、「AIなどのマシンが計算だけでなく、数学に基づく推論もしてくれる時代がすぐに来るか
ら問題ない」という意見がありますが、機械に数学を委ねるリスクを指摘する声もあります。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのセリア・ホイルズ教授は、
「数学モデルが技術の中に隠されつつあります。これは非常に危険なことです。『コンピューターの出力結果は魔法ではない』ということを理解するべきです。
数字はどこから来たのかを疑問に思う必要があるのです」と述べ、盲目的にコンピューターの結果を信じ込み、作為的な操作が行われていないと信じる危険性を指摘しています。

また、Wolfram Researchのコンラッド・ウォルフラム氏は、「人々は、テクノロジーのおかげであらゆることを計算できると誤解しています。
試験からフェイクニュースに至るまで、数字が付随するものは、時々理解の範疇を超えるものです」と述べています。


https://gigazine.net/news/20180711-matter-innumerate/