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 きょうは夏至。二十四節気の一つだが、冬至や春分、秋分とともにそれを意識することなく、広く知られている。昼間と夜間の長さという、身近な問題が関係しているからだろう。

 夏至は北半球では一年で昼が最も長く、夜が最も短い日だ。欧州では太陽神崇拝が色濃く残る宗教行事が長く続いてきたが、日本には特段の行事や風習はないようだ。梅雨期だけに、昼の長さは確かに実感しにくい。

 夏の季語の一つだが、短歌や俳句などでは「短夜(みじかよ)」も使われる。島崎藤村は随筆「短夜の頃」に書いている。
「黄昏(たそがれ)と夜明けのかなり接近して、午後の七時半過ぎにならなければ暗くならない夜が、朝の三時半過ぎか四時近くには開け放れて行くと考へることは楽しい」と。

 短夜のほか、春は「日永」、秋は「夜長」、冬は「短日(たんじつ)」と表現される。日永と短夜は意味としては同じだが、季節感としては微妙に異なる。暖かな昼間が徐々に長くなっていく春と、暑さが多少は和らぐ夏の夜と。

 そんな身の回りの季節感が薄れて久しい。快適に、便利に暮らすことができる利器に囲まれ、社会の24時間化が進んだ大都会などでは当然だろう。むろん、どこかにひずみも生じる。
深刻化する人手不足などを背景に、営業時間の見直しに踏み切る業界はその一例といえる。

 夏至が過ぎると梅雨明けが待ち遠しくなるが、会期を延長した国会周辺はまだまだ梅雨闇が続きそうだ。