9歳圧死させた凶器ブロック塀、大阪府警が捜査 所有者に多額の賠償金も 大阪北部地震
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震度6弱という激震に見舞われた大阪北部地震。小学校のブロック塀が倒れ、女児が下敷きになり命を落とした。
このブロック塀、違法建築だったことが発覚し、大阪府警は19日、業務上過失致死容疑で捜査を開始した。大地震が起きるたびに老朽化した塀による圧死事故が起きるが、それを管理する立場の所有者は想像以上の代償を負うことになる。
犠牲になった家族から多額の賠償金を請求される可能性があるのだ。

 痛ましい事故が起きた。18日朝の地震発生時、高槻市立寿栄(じゅえい)小でプールのブロック塀が約40メートルにわたり道路側に倒れた。通学途中だったとみられる同小4年、三宅璃奈(りな)さん(9)が巻き込まれ、命を落とした。
大阪市東淀川区では、安井実さん(80)がブロック塀による倒壊で死亡した。

 三宅さんが亡くなることになったプールのブロック塀は、基準より約1・6メートルも高い約3・5メートルで、違法建築だったことが発覚。府警は19日、業務上過失致死容疑で捜査を開始した。

 コンクリート製などの塀による事故は、地震が起きるたびに繰り返されてきた。1978年の宮城県沖地震では、犠牲になった28人のうち10人以上が塀の下敷きとなって亡くなった。国は81年に改正建築基準法を施行。構造上安全と確認された場合を除き、塀の高さを2・2メートル以下にするなど耐震基準を強化した。

 それでも古い塀は残り、95年の阪神大震災で倒壊が相次いだ。2005年の福岡県西方沖地震、16年の熊本地震ではそれぞれ1人が、倒壊したブロック塀で死亡している。

 震災などで突如、凶器と化すコンクリートの塊。所有者は知らぬ存ぜぬでは済まされず大きな代償を支払うことになる。

 弁護士の高橋裕樹氏は「今回の地震のように民家の塀が崩れ、けが人が出た場合には、所有者である家主が責任を負うことになる」と指摘する。

 占有者(居住者)と所有者が別の場合は、「占有者が定期的に塀などが崩れる心配がないかを確認していたなど、自らの過失ではないことを証明すれば、責任は所有者になる」と解説する。

 三宅さんが亡くなったケースでは「倒壊した塀は市立の小学校のものなので、占有者であり管理者である市が責任を負う。女児が将来、(労働などで)得るであろう金額などを考慮すると、賠償額は5000万円以上になるはずだ」(高橋氏)。

 地震などの天災は、事前に予測ができないことから、免責の対象になる場合もあるが、「震度6程度では日本国内では十分想定できるので、所有者の責任は免れないだろう」(同)。

 所有者の管理責任はとてつもなく重い。