>>77
いわゆるプロテストソングを書いていた時代を振り返るジョン


ある意味では、私の作品をほとんど破壊してしまいましたね。
私が書くものは、詩ではなくて報道記事になってしまったのです

自分たちは、ほんとうは民衆詩人であり、ロックンロールこそ民衆の詩なのだ、と。
「世の中の状況をとらえてそれを歌に託してみよ
う」と、自分に言いきかせたりしだしたのです。

しかしいったんそういう作品をつくりはじめると、例
えば、樹木について語ることなんかできなくなってしまいます。

五十四番通りの腐敗について語ることのほうが大事だと思っているわ
けですからね。

私のちっぽけな三十四年間の人生は、そういう教訓のくり返しですよ。なにか
ひとつのものをつかむと|それはいつもわらでしかないのですが
これしかない、と思いこんでしまうのです。

世の人は、宗教の帽子や政治の帽子やノンポリの帽子、とにかくどんな
帽子でもいいから新しいむぎわら帽子を見つけてかぶろうとしていま
す。そんなことは時間の無駄だ、ということがわかったような気がい
まはしますね。

かぶらなげればいけない帽子なんてないのです。

いろいろな体験をして服を着がえるのがベストなのです。歩みをつづける
しかありません。変化していくよりほかにないのですよ。