兵庫県内にある大学と短大の今春卒業生の就職率(4月1日時点)が、前年比0・3ポイント増の94・7%を記録し、兵庫労働局が11年に調査を始めて以来、過去最高だったことが分かった。
景気回復や人手不足で企業の採用意欲が高まり、県内でも学生優位の傾向は続いている。一方で「超売り手市場」がプレッシャーやストレスとなり、メンタル面の不調を訴える学生も目立っている。(末永陽子)
 同労働局が県内の35大学と18短大に聞き取り調査した。大学は前年比0・1ポイント増の94・6%、短大は1・2ポイント増の95・3%。
就職先を把握している大学によると、県内に本社を置く企業が約3割、県外は約6割を占めた。回答なしが約1割だった。
 調査方法が異なるため単純比較はできないが、厚生労働省などが5月に発表した全国の就職状況調査によると、大学生は前年比0・4ポイント増の98%で、こちらも1997年の調査開始以来、過去最高だった。短大も2・1ポイント増の99・1%だった。
 ただ、未内定者数が一定数いるのも事実。県内の大学では1085人、短大では108人の就職が決まっていない。好調な就活状況ゆえに、「就活うつ」など深刻な不調に陥る若者も少なくない。
 「自分を否定され続けてつらかった。不合格のたびに、『もう頑張れない』と思った」 県内の大学を卒業した無職の男性(24)は、昨年の就職活動をこう振り返る。
 商社や大手メーカーを希望し、OB訪問やインターンシップで早くから業界研究に取り組んできた。30社以上にエントリーしたが、8月時点で2次面接まで進んだのは1社のみ。
その企業からも不合格通知を受け取ってからは、面接で失敗する夢にうなされたり、面接前に腹痛や吐き気を催したりするようになった。
 友人が7月までに複数の内定をもらったと聞いて焦り、親からの「売り手市場なのに…」という言葉に傷ついた。同級生との接触を避け、会員制交流サイト(SNS)も開かなくなった。食欲も減退し、家にこもる日々が半年ほど続いたという。
 母親の勧めで4月からキャリアセミナーやメンタルヘルス相談に通い、就職活動を再開させた。「就活には気分転換も必要だと感じた。一度失敗した経験を生かしながらマイペースに取り組みたい」と話す。

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