北朝鮮メディアが、朝日新聞への批判を連日のように繰り返している。ソウル支局長を
「御用保守論客」などと名指しで非難しているのだ。北朝鮮メディアは「絶対に許さず、
必ず高価な代償を払わせる」と脅迫まがいの批判まで展開した。独裁国家による「言論の
自由」への侵害を許してはならない。

 標的にされたのは、朝日新聞ソウル支局長の牧野愛博(よしひろ)氏。北朝鮮当局筋に
食い込んだジャーナリストとして知られ、『北朝鮮核危機! 全内幕』(朝日新書)、
『金正恩(キム・ジョンウン)の核が北朝鮮を滅ぼす日』(講談社+α新書)など、朝鮮半島
関連の著書も多い。

 牧野氏は、朝日新聞の5月30日朝刊1面で、正恩朝鮮労働党委員長が涙を流す場面を
収めた記録映像が4月に上映されたとするスクープを報じた。

 これに反応したのか、朝鮮中央通信は8日、牧野氏を「日本の悪名高い御用記者」「人間
のくず」などと口汚い言葉で批判し、朝日新聞の報道を「われわれの最高の尊厳をあえて
冒涜(ぼうとく)し、朝鮮を悪辣(あくらつ)に誹謗(ひぼう)、中傷する謀略宣伝」などと酷評した。

 朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」も9日、署名入りの論評で牧野氏と朝日新聞について、
「犯罪行為の張本人」「反朝鮮敵対行為の一環」と指摘。その目的を「朝鮮半島に醸成
された民族の和解と団結、情勢緩和の雰囲気を壊そうとしている」などと分析した。

 聞くに堪えない罵詈(ばり)雑言というしかない。朝日新聞の記事が、正恩氏や北朝鮮に
とって、よほど触れられたくない核心的内容だったのだろうか。

https://www.zakzak.co.jp/smp/soc/news/180613/soc1806130016-s1.html