片田さんは、今回の事件の加害者のように(他人の言動などに)過剰反応する若者が増えていると話し、「自己愛過剰社会」という言葉を用いて分析しています。
佐々木は「会社に就職してレールの上を走っていればある程度自己愛が満たされていた時代が終わり、
立場や身分が不安定になった今だからこそ、周りからの評価を気にするようになったのかも」と見解を述べます。

さらに、片田さんは「自己愛が強い人ほど承認欲求が強くなり、『注目を浴びたい』と感じる自己顕示欲も強くなる」と言います。しかし、テレビに出るような芸能人と違い、
一般人の自己愛や承認欲求はそう簡単に満たされるものではありません。片田さんは「そのギャップ(=理想と現実の差)を埋めるために若者が
利用しているのがSNS」と述べ、「昨年流行語に選ばれた『インスタ映え』は、まさに現在の自己愛過剰社会を象徴している」と指摘します。インターネットやSNSで、
一般人がさまざまなことを発信できる機会が増えたことにより「人々が『自分も注目を集めたい』という願望を諦めきれなくなっている」と片田さん。しかし、
承認欲求を全面に押し出し、自己愛がもろにぶつかるような状況ではコミュニケーションは成立しないと言います。

片田さん曰く「自己愛の強い人間は発信ばかりで受信の感度が低い」、さらには「精神科医を尋ねてくるのは、そんな社会に疲れ果てた人が多い」とのこと。

決して健全とは言えない自己愛過剰社会ですが、片田さんは「実は右肩上がりだったバブル世代も自己愛が強く、その影響が今の子どもたちの世代に出ている」と
言います。続けて、「世代を超えて自己愛過剰社会となってしまった今、すぐにこの状況を変えるのは難しい」とコメント。片田さんは、解決策は「人間は
スーパーマンのようにすべての願望をかなえられるわけじゃないということを受け入れること」と述べ、「そうでなければエゴのぶつかり合いで
コミュニケーションが成立しない社会になってしまう」と危機感を募らせていました。

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