子どもの命を奪いかねない「車内放置」。そこから救うために「車の窓ガラスを割る場合があります」と、
強硬手段を辞さない姿勢を知らせるパチンコ店の張り紙が話題だ。

これを撮った写真がツイッターに投稿されると1万件近くリツイートされ、「全くもって同意します」といった
声があがっている。

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弁護士「よっぽどのことがない限り器物損害罪が成立することはないでしょう」

J-CASTニュースが「弁護士法人・響」の坂口香澄弁護士に見解を聞いたところ、まず「刑事上は器物損壊罪(刑法第261条)に
あたる可能性があります」としつつ、免責される余地が十分にあることを示した。

「刑法では『緊急避難』にあたる行為、つまり『自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、
やむを得ずにした行為』は、罰しないことを原則としています(刑法第37条第1項)。そのため、『他人の生命』である子供の命を
救うためにやむをえず、窓ガラスを割るという行為にでた場合、その行為は刑事上罰せられません」

緊急避難として免責されるためには、「その行為によって生じた害が、避けようとした害の程度を超えないこと」が要求されるものの、

「子供が車内でぐったりしているような状況で子供の生命が危険にさらされることに比べれば、窓ガラスが割れる被害が
これを超えるということはないので、よっぽどのことがない限り器物損壊罪が成立することはないでしょう」

とのことだった。

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実際に「ガラスを割った」ことはある?

J-CASTニュースの9日の取材に応じたマルハンの広報課担当者によると、このポスターは約1年前から使用されており、
全国の全店舗で、駐車場や店舗出入り口などに同じポスターを掲示している。デザインは全3種類。

掲示するようになったのは、やはり「毎年、日本全国で子供の車内放置による事故が発生しており、弊社はそのような
事故を撲滅し、尊い命を守りたいと強く思っているからです」といい、

「ポスターの掲示は車内放置を撲滅するための取り組みのひとつで、弊社ではその他に従業員による駐車場巡回や、
店内アナウンス、新聞の折り込みチラシでの注意喚起なども行っています」

と、車内放置撲滅のため複数の取り組みを実施している。駐車場巡回は季節を問わず年間を通じて行っており、
従業員用に独自のマニュアルもあるという。

気になるのはやはり、「窓ガラスを割る場合があります」というくだりだ。実際に割ったことがあるのだろうか。担当者はこう答えた。

「ガラスを割ったという事例はまだございません。しかし、弊社の店舗駐車場内で車内放置を巡回中の従業員が発見し、
事故を未然に防いだ案件は昨年だけでも80 件以上ありました。これまでのところ、駐車場巡回による早期発見と店内
アナウンスによる保護者の呼び出しで子供の救出が図れており、ガラスを割る状況に至ったことはございません」

https://www.j-cast.com/2018/05/11328160.html?p=all