大音量の懐かしいディスコミュージックに合わせ、扇子片手にお立ち台で踊る女性たち−。
遅咲きデビューしたバブル世代の女性DJが福井市の夜の街を盛り上げている。
がんや離婚を経験してつらい時期があったが、「年を重ねても楽しめるんだと、若い世代に希望を持ってもらいたい」と笑顔で話す。
3月、市中心部にあるディスコで開かれたイベントに、約70人の客が集まった。DJブースに立つのは、地元でラウンジを営む中沢清美さん(54)だ。
1970〜80年代に流行したナンバーを14曲ほど流すと、ダンスフロアのムードは最高潮に。「次はチークダンスタイム。パートナーを見つけて」との声に合わせ、席に座っていた年配客も踊りだした。
20歳で結婚。4人の子供を出産し、6人の孫にも恵まれた。
若い頃から好きだったおしゃれを我慢し「末っ子が高校を卒業したら青春しよう」と、毎日ジーンズにトレーナーで育児に奔走した。
だが44歳で胃がんが見つかり、腎不全を患っていた弟に腎臓移植もした。離婚を経て、「もらった人生、楽しまないと。自分のために生きよう」と思いを固めた。
48歳でラウンジを始めた。週末に訪れていた近くのディスコのオーナーに勧められ、DJに挑戦。
年下のDJに曲のつなぎ方を教わり、昨年11月にデビューした。「若いころディスコに通った」という女性が娘を連れて遊びに来たという。
「自分がかけた曲で踊ってくれるのがうれしい。50代のDJがいることで同年代の人も来やすくなると思う」と話す中沢さん。
ディスコブームだった80年代は子育て中で踊りには行けなかったが「私たちが踊っている姿をみんなに見せたい」と、技を磨きながら次回6月のイベントを心待ちにしてる。
バブル世代の遅咲き女性DJに福井のディスコ熱狂
https://www.sankei.com/region/news/180505/rgn1805050007-n1.html