同じ国民のカネにまつわる事件という意味では、財務省の文書改ざん問題以上に深刻だ。またしても特殊法人『日本年金機構』(以下=機構)が
やらかしてくれた。
 「機構がデータ入力を委託した都内の情報処理会社『SAY企画』が、中国・大連にある『大連信華信息技術有限公司』の日本法人『東京信華』に
個人情報の入力業務を再委託していたことが発覚したのです。SAYは1300万人分のデータ入力を約800人で作業するとして機構から業務を受注
したのはいいが、実際には百数十人しか作業人員が集まらず、結局、同社の切田精一社長が役員をしていた信華に500万人分の入力を“丸投げ”
してしまったというわけです。もちろん、再委託は個人情報保護の観点から禁じられていますが、中国系企業にマイナンバーの入力までも委託
していたというのですから事態は深刻で、500万人分の個人情報が中国側に漏洩したことになります。業務遂行能力をチェックせずにSAYに委託した機構も、
できもしない業務を受注したSAYも、どっちもどっちです」(全国紙社会部記者)

 問題は個人情報が中国に流れたという事実だ。
 「中国は一生、その番号が変わらない日本のマイナンバーを狙っています。2015年5月に機構は中国からのものと思われるサイバー攻撃を受け、
101万人もの個人情報が流出しました。この事件があったため、マイナンバーの年金での活用が延期されていたのです。マイナンバーは個人の
特定が容易ですし、さまざまな行政サービスともヒモ付きです。各分野で個人情報が漏洩することで、ハッカーが国の重要人物を脅迫し、
国家機密を盗むこともあり得ます」(中国ウオッチャー)

 SAYの取引先には機構以外に農林水産省、厚生労働省、国税庁や公正取引委員会など公官庁が多い。それだけに由々しき事態といえる。
中国企業への警戒感のなさは、国民を“カネ”としか思っていない証左だ。

https://wjn.jp/article/detail/9459523/