2016年当時、男性は製紙関連会社の派遣社員として勤務していた。クレーン操作などいくつもの免許を持ち、働きぶりも熱心と評価されて近々、正社員に採用されるはずだった。
同年11月、順風満帆に見えた男性の未来は暗転した。職場で弁当を食べていた昼休み、全身が突然激しいけいれんに襲われ、口から泡を吹いて倒れた。気付いた時には病院のベッドの上。
過去に同様の発作は2回あったから、自分の身に何が起きたかすぐに悟った。「またか…」。ぼんやりと病室の天井を眺めた。
1週間後、職場復帰した男性に向けられた周囲の目は一変していた。会社にはてんかんの持病を正直に伝えてあった。なのに、空気が妙によそよそしい。仕事をしようとしても「いいから」と
取り上げられた。厄介者扱いされていると察した。「君にやってもらう仕事が見つからなくて」と人事担当者。表情は申し訳なさそうだが、内心は違うと分かった。「つまり、辞めろってことでしょ。
発作が理由ですか」。そう詰め寄ったが、人事担当者は首を横に振り続けた。「ずるい」。男性は一言だけ抗議して会社を去った。
実は男性は高校卒業から10年ほどで6社もの職場を転々としていた。仕事に慣れ始めると、疲れやストレスで発作が起きそうになり、迷惑を掛けまいと退職を切り出す悪循環。
だが、今回ばかりはどうしても正社員になりたかった。
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