あの日から、笑ったことは一度もない。 震災PTSDのいま
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180311-00010002-bfj-soci

震災から7年経っても、心の傷が癒えていない人たちがいる。なかには、新たに心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受ける人も、だ。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】


「震災前は幸せでした。でも、心のそこから笑えたと思ったことは、あの日から一度もないですね」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、相馬市に暮らす男性(61)だ。医師から、PTSDの診断を受けている。フラッシュバックなどの症状があるからだ。

いまでも毎日、遭遇した津波の光景が唐突に蘇るという。それも、1日に何回も。

「あのときの記憶だけは、いまもはっきりと覚えているんです。それはもう、恐ろしいことですよね。経験してみないと……わからないと思いますが……」

地震の直後。海際に住む母親の様子を見にいこうとして、渋滞に巻き込まれているさなかのことだった。

いきなり現れた、見たこともない黒い水の塊。目の前に並んでいた救急車やタクシーなどが飲み込まれていった。

「津波とは認識できなかった。みんな、巻き込まれてしまった」

男性はあわててハンドルを切り返した。奇跡的にも、濁流は車を高台に運んだ。避難していた数人とともに、波に飲み込まれていくまちの様子を、見つめた。

車から、人から、漁船から。何もかもが、流されている。その中には、赤ちゃんを抱えたお母さんもいた。あたりには、雪が吹きすさんでいた。

「同じ人間が、目の前で流されていくんですよ。本当に、寒かった。この世の終わりって、こんなものなのでしょうね」



恐怖の記憶、報酬で無意識に書き換え?PTSD治療に道


https://r.nikkei.com/article/DGXMZO2776654006032018000000

国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のグループは、脳に残る恐怖の記憶を無意識のうちに書き換え、その記憶が起こす心身の反応を和らげる手法を開発した。脳が恐怖を感じたと推定される際にお金を渡すと、症状が治まった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療につながるとみている。

川人光男・脳情報通信総合研究所長と千葉俊周連携研究員らの成果で、米科学アカデミー紀要(電子版)に6日発表する。

実験に参加した17人の脳の活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)と呼ぶ特殊な計測器で調べた。人工知能(AI)を使って脳が恐怖を感じたときの活動パターンを見つけ、パターンが表れた際に、1日最大3千円の報酬を与えた。5日間続けると、汗をかく量などが大幅に減った。恐怖の記憶が和らいだためと分析している。