(社説)神戸製鋼不正 体質を一新できるのか


製品の品質が取引先の求める基準を満たしていないのに、データを書き換えて出荷する。
一連の品質不正について、神戸製鋼所が調査結果を公表し、再発を防ぐための対策を示した。
川崎博也会長兼社長と副社長1人が4月に辞任し、新体制で再建に取り組む。

しかし、本当にウミを出し切り、体質を一新できるのか。
そんな疑問を抱かざるを得ないほど、問題の根は深い。

 調査によると、収益偏重の経営の結果、とにかく受注を増やして売り上げを伸ばす「生産至上主義」が
現場に広がった。
能力以上に注文を受けた工場では、顧客が求める仕様で安定的に製品をつくることができず、不正に走ったという。

驚くべき内容だが、まだ全容がわかったわけではない。
一部の工場で70年代に始まった不正がなぜ、グループ会社を含む計23工場に広がったのか。
明確な答えは示されていない。

神鋼では不祥事が後を絶たない。
06年に環境データを改ざんして自治体に報告していたことが発覚。
09年には地方議員の後援会事務所に不適切な寄付行為をしていたとして、当時の会長と社長が辞任した。
今度こそ経営を刷新する覚悟が問われる。

すべての企業が神鋼から教訓をくみ取り、改めて経営をチェックしてほしい。

https://www.asahi.com/articles/DA3S13392169.html