中国の技術力 10〜15年で米国並みに

 米国人や米国に友好的な人々は、同国の力が相対的に低下するのを次のように表現することで、自らを慰める。
たとえ道路や空港、学校が老朽化の一途をたどっていても、最も高度な分野では、この先何十年にもわたって先頭に立ち続ける、と。
そうした分野として真っ先に挙がるのは国防や著名大学であり、ビジネスの世界ではテクノロジー産業だ。

 米国は2007年には輸出額において、11年には製造分野で、トップの座を中国に明け渡した可能性がある。そして30年ごろまでに、
世界1位の経済大国の座も奪われることが必至の情勢だ。

 それでも彼らは、米シリコンバレーに匹敵する場所はどこにもないと言う。ここには世界最高の頭脳が集まり、目端の利く投資資金が
大量に流れ込み、世界のどこよりもハングリーな起業家と結びつく。

 本当にそうだろうか。米国人はこの20年間、中国の技術力に対して否定的な態度を取り続けてきた。第1段階では関心を示さなかった。
次の段階ではしばしば、中国企業を模倣者あるいは産業スパイと見なした。そしてつい最近まで、中国はテクノロジーのガラパゴスであり、
固有の種(企業)が育っているが、これらに海外市場に打って出るだけの競争力はないと受け止めていた。

 現在は第4段階が始まったところだ。米国に匹敵する力を中国が付けつつあるとの不安が台頭している。シリコンバレーのある関係者は、
テクノロジーの世界で米国が「権勢を振るう」時代は終わりに近づいていると指摘する。

■政府がAI分野で「行政指導」

 中国テクノロジー業界のリーダーたちは米カリフォルニアを訪れ、同地に投資することに積極的だが、もはや畏敬の念など抱いていない。
中国の巨人アリババ集団や騰訊控股(テンセント)は、時価総額で米アルファベットや米フェイスブックと肩を並べる。

 さらに、数多くのベンチャー企業が18年から19年にかけて、株式上場に進むだろう。配車サービスの滴滴出行、アリババ集団傘下の
金融会社アント・フィナンシャル、中国最大のピア・ツー・ピア(P2P)金融会社である陸金所などの名が挙がる。

全文
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27362810U8A220C1000000/