シュークリームの民主化

食事のあとに食べる日々の甘味。これさえなければ確実に体重が減ることは百も承知、実際に何度か停止を試みたこともあるのだが、
その喪失感は耐えられないほど大きい。精神的な健康に配慮して、甘味の悪習をしっかりキープしている。

何といっても好きなのはシュークリーム。僕が大学生の頃だったように記憶しているが、一大事件が勃発した。
「シュークリームの民主化」である。それまでシュークリームは(大学生にとっては)習慣的に食べるにはわりと高価なものだった。
ところが、大規模洋菓子チェーンの規模の経済が効いたのか、カスタードクリームがたっぷり入った大きなシュークリームが
100円程度の値段で出回るようになったのだ。

当然のことながら、僕は狂喜した。いずれまたここで触れる機会があるかもしれないが、
僕はもともと「一種類の好きなものを大量に食べる」のが大スキなのである。
駅前の洋菓子チェーン店で100円のシュークリームを半ダースほど買い込んで帰宅し、一気に食べるのが常態化した。

カスタードクリームを口に詰め込んで恍惚としていると、なんでこんなにスキなのかな?と自分でも不思議になる。
甘いものであれば何でもいいというわけでもないのである。シュークリームは好きだが、クッキーはそうでもない。
というか、はっきりと嫌いである。

いただきもののクッキーが家にあっても、手を出さない。アイスクリームは好きだが、ビスケットは食べない
(ところで、クッキーとビスケットの違いは何なのかな?)。
なぜシュークリームが好きなのにクッキーは嫌いなのか、その背後にある理由を考える。
すると、ひとつの次元が浮かび上がってくる。すなわち「水分含有率」である。
甘いものに関して、自分は水分含有率の高いものを好むのではないか――。

で、この仮説を具体的なレベルに引き戻して検証してみる。
和菓子でも、水羊羹は好きだが羊羹はそれほどでもない。干菓子になるとまったく興味がない。

水羊羹は相当に好きだが、もっと好きなものは……、と考えてみると、はたして答えは「あんみつ」。
確かに水羊羹よりも水分含有率が高い。

http://bunshun.jp/articles/-/1406