政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が20日開かれ、安倍首相は外国人労働者の受け入れ拡大策について
具体的に検討するよう関係閣僚に指示した。情報技術(IT)活用による生産性向上や高齢者、女性の参加でも人手不足を
解消できない分野を前提に対象職種を絞り込み、専門性を持った外国人材の受け入れ拡大策を検討する。

 菅義偉官房長官と上川陽子法相を中心に関係省庁が近く議論を始め、6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に
盛り込む方針だ。安倍首相は諮問会議で「移民政策をとる考えはないが、5年間のアベノミクスで有効求人倍率が高水準となる中、
深刻な人手不足が生じている。専門的、技術的な外国人受け入れの制度のあり方について早急に検討してほしい」と指示した。

 入国管理法改正も念頭に検討が進む見通しで、具体的には現在、医師や弁護士など18種の「専門的・技術的分野」に関する
在留資格について、新たな職種を追加することなどが想定される。外国人が日本で就労できる期間には制限を設ける方針だ。

 人手不足が深刻な介護、建設、農業などの分野で認められている「外国人技能実習制度」は、外国人の技能習得を通じて
日本の技術を海外に伝えることが本来の目的だが、実習生が事実上、単純労働の労働力不足を補う人材となっている。
今回検討する外国人受け入れ拡大策はこの技能実習制度には手をつけず、別の入国経路で専門家として働いてもらう人を
増やすことを探る。

 また諮問会議では、民間議員が、2019年10月の消費税率の10%への引き上げ後や、20年の東京五輪・パラリンピック後に
予想される個人消費の落ち込みなどを最小限に抑える政策を検討するよう提言した。消費増税の駆け込み需要と反動減の落差を
小さくするため、安倍首相も「需要変動を平準化する具体策を政府一丸となって検討する必要がある」と述べた。【工藤昭久】
https://mainichi.jp/articles/20180221/k00/00m/020/111000c