神奈川県大井町の東名高速でワゴン車が大型トラックに追突され、夫婦が死亡した事故をめぐり、福岡県警は22日、インターネット上に誤った情報を書き込んだり、拡散させたりして、無関係の人物の名誉を傷つけたとして、複数の人物の関係先を名誉毀損(きそん)容疑で家宅捜索した。捜査関係者への取材でわかった。
個人情報やデマを書き込まれたため、嫌がらせの電話が殺到した北九州市の建設会社が被害届を出していた。
北九州市八幡西区の石橋建設工業(石橋秀文社長)によると、事故を引き起こしたとして自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕された容疑者の姓が「石橋」だったことなどから、ネット上に石橋社長を「容疑者の父」、石橋建設工業を「容疑者の勤務先」とする誤った情報が書き込まれた。
逮捕された翌日の10月11日には、嫌がらせや中傷を含む電話の着信が100件ほどに上り、その後も名前や会社の電話番号などが拡散。業務にも支障が出たため、10月末に被害届を出した。
同社の石橋社長は「まだ会社の情報などが消されていないサイトもある。うその情報を書き込んだ人が処罰を受けるのは当然で、今回がその一歩になれば」と話した。
配信 2017年12月22日13時00分
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASKDQ43Q4KDQTIPE00F.html
「電話の件数は1日100件を超えました。最初に事務員から報告を聞いたときには、逮捕されたのが福岡出身の“石橋”という人物だったので、勘違いか、問い合わせの電話だろうと思っていました」
しかしそのときすでにネット上には、石橋社長が「容疑者の父」であり、石橋建設工業は「容疑者の勤務先」だとする、誤情報が流れていた。
「容疑者の男性は社員でも息子でもないと説明をしても“嘘をつくな”と。仕事にならず、数日間、会社を休みにしました。
週末を挟めば落ち着くと思ったのですが、ネットには会社の所在地のほか、私の自宅住所まで書き込まれ、嫌がらせの電話はエスカレートしていきました」
家族の身を危惧した石橋社長は結局、子供の学校も休ませたという。親族や知人の誤解は解けても、ネットの向こう側へは伝わらない。
「そこでネットに虚偽情報を書き込んだ人、それを広めた人も捕まえてほしいと、警察に被害届を提出しました」(石橋社長)
12月、福岡県警はネットの書き込みに関係すると思われる複数箇所を家宅捜索。いまだ書き込んだ主は逮捕されていないが、石橋社長は泣き寝入りするつもりはないという。
「5年、10年とかかろうが、徹底的にやってほしい。私が容疑者の親という嘘の情報を流されたことで、家族や社員には心配をかけ、怖い思いもさせました。
取引先から問い合わせがあれば、東京や大阪へも説明に行きました。そこまで影響があることを、書いた人、広めた人たちに知らしめるためにも、損害賠償請求をするつもりです」(石橋社長)
https://article.auone.jp/detail/1/2/2/128_6_r_20180219_1519006042502443?ref=top