南太平洋に浮かぶ人口10万人あまりの王国トンガ。かっぷくがよく、ふくよかな人たちがゆったりと行き交う。
そんな光景が映し出すのは、ラグビーが盛んなお国柄というより、成人の多くが肥満という現実だ。人々が生活習慣病を患うリスクを減らそうと、
様々な対策が動き始めている。(ヌクアロファ=小暮哲夫)

 首都ヌクアロファ郊外のカラウ地区のコミュニティーセンターに昨年11月、
地元の女性約20人が集まった。たいていの家の庭に木があるという果物ブレッドフルーツ(パンノミ)を使った料理教室が開かれていた。
日本の国際協力機構(JICA)の援助を受けて東京農業大が行っている。

 「今日は、クリスマス用のレシピを考えてきました」。事業の責任者、東農大の杉原たまえ教授が包丁を握ってお手本を示した。

 ブレッドフルーツは炭水化物が豊富で水分も多く、腹持ちがよい。タロイモなどと並ぶ伝統的な主食の一つ。
トンガはかつて海外との交易の手段が限られ、主食と野菜や果物、魚を中心とした食生活だった。
地域や親族間のさまざまな行事ではいつも、たっぷり食事を振る舞って楽しんでもらう慣習もある。

 そんな大食の人たちの暮らしにこの数十年、バターやジャムをたっぷり塗ったパン食やファストフード、脂肪分、
塩分の高い加工食品が広がったことが肥満が増えた要因とされる。

肥満の多い国、上位10カ国
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ブレッドフルーツのバーガーを作った女性たち=トンガ・ヌクアロファ郊外
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野菜・果物料理コンテストに参加した子どもたち
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2018年2月12日18時54分
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