名古屋市は9日、一般会計で1兆2097億円になる2018年度当初予算案を発表した。前年度に比べ3.3%増え、過去最高額を更新した。
27年予定のリニア中央新幹線開通を見据え、市の二大繁華街である名古屋駅周辺地区や栄地区のまちづくりを強化するほか、
名古屋城天守閣の木造復元計画を踏まえた観光誘客など、市の魅力向上策にも重点投資する。

 河村たかし市長は予算案を発表する記者会見で「未来の子供たちにつながる産業が大いに栄え、世界に冠たる、ロンドン・ニューヨーク・
パリ・ナゴヤといわれるような『大都市名古屋』の実現に向け予算を組んだ」と編成方針を述べた。

 にぎわいの創出が課題の栄地区では、5億7680万円を投じて再開発を進める。久屋大通公園「噴水南ひろば」のバスターミナルを近隣の
大型複合施設「オアシス21」に移転するほか、民間活力を生かして同公園の北エリア・テレビ塔エリアを整備する。中区栄3の白川通大津
交差点付近には2700万円かけて人力で移動できる中央分離帯を設け、「歩行者天国」など道全体を使った催しができるようにする。

 名駅地区では1500万円を投じ、周辺の柳橋中央市場や納屋橋、円頓寺商店街などを観光ルートとして回りやすくすることを検討するほか、
市営地下鉄東山線で同市場付近に構想する新駅の設置について調査する。市内を流れる堀川を活用した水辺のにぎわいづくりに向け、
3億円かけて護岸整備などを実施する。

 観光客を呼び込むため、1572万円をかけ東京地下鉄(東京メトロ)の車内や駅構内で名古屋城天守閣の木造復元などをPRする動画を流す。

 国際会議など「MICE」誘致も強化する。名古屋港の金城ふ頭(港区)にある国際展示場について、改築する第1展示館と既存施設との間に
会議施設や飲食施設を造るのに1200万円を充てる。空見ふ頭(同区)の展示場構想の断念を踏まえ、別の場所に整備可能かどうか
外部有識者から意見を聞く。

 名古屋城関連では、天守閣の木造復元に絡む設計や調査、材料の調達などに34億円、観光ルートの整備やイベント実施に2000万円を計上した。
市は当初予算案や関連条例案を19日から始まる市議会の2月定例会に提出する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26761610Z00C18A2L91000/