23日午前9時59分頃、群馬県西部にある草津白根山の「本白根山(標高2171メートル)」が噴火した。
http://yomiuri.co.jp/national/20180123-OYT1T50065.html

群馬県などによると、近くにある草津国際スキー場で訓練をしていた陸上自衛隊の隊員1人が噴石に当たって死亡したほか、他の隊員7人とスキー客ら4人の計11人が負傷した。
山頂付近には約80人が一時取り残され、自衛隊などに救助された。気象庁は草津白根山の噴火警戒レベルを3(入山規制)に引き上げ、噴石などに警戒を呼びかけている。

 気象庁によると、噴火したのは本白根山の山頂近くにある「鏡池」付近で、振幅の大きな火山性微動が午前9時59分頃から約8分間継続した。東京工業大の観測では、火口から約1キロ離れたところまで噴石が飛散したのが確認されたという。
火山性地震も激増したが、すぐに噴火活動は小康状態となったという。同庁は「火口から約2キロの範囲に噴石が飛散し、火山ガスも噴出する恐れがある」としている。

 防衛省によると、死亡したのは陸上自衛隊第12旅団(司令部・群馬県榛東村)第12ヘリコプター隊に所属する陸曹長の男性隊員(49)。当時は隊員30人が雪山での作戦を想定したスキー訓練を実施していた。負傷した7人のうち5人は骨折などの重傷、2人は軽傷。同省は当初、雪崩に巻き込まれたとしていたが、後に噴石による被害だったと説明を改めた。

 群馬県などによると、スキー場のゴンドラに乗っていた男女2人が、割れたガラスの破片で軽傷を負った。

 頂上付近に取り残されたスキー客らについて、自衛隊は午後3時頃からヘリコプターで救助を開始。スキー場の関係者もスノーモービルと雪上車を使って救助活動を行い、午後5時過ぎまでに全員の救助を終えた。

 草津白根山は、2014年6月に噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に上げたが、その後、ガスの噴出や地震発生など火山活動を示す顕著な観測データがなく、「静穏化している」と判断したため、17年6月に1(活火山であることに留意)に引き下げていた。ここ最近は、草津白根山全体での火山活動の高まりを示すデータもなかったという。

 気象庁火山課は「一般的には小さな規模の噴火。顕著な地殻変動は起きておらず、火山性地震も減っているが、このまま終息するかどうかは慎重に判断していきたい」としている。

 草津白根山は、白根山、本白根山、逢ノ峰などの総称。白根山や本白根山の山頂付近には複数の火口湖がある。草津温泉は本白根山から約6キロに位置する。