環境保護団体の世界自然保護基金(WWF)ジャパンは十一日、象牙の違法取引が横行しているとして、
二〇二〇年までに国内市場を閉鎖するよう求める要望書を環境省に提出した。各国が市場閉鎖を進め、
日本は国際的な孤立を深めている。世界最大規模の環境保護団体からの閉鎖要請で批判はさらに強まりそうだ。

 WWFによると、環境省の担当者は、警察や税関と連携して密輸などの取り締まりを強化する考えを示したが、
市場の閉鎖要望に対しては明確な返答はなかったという。

 要望書は、一一〜一六年に二・四トン以上の象牙が日本から主に中国へ密輸されているなどと指摘し、
「象牙の違法取引撲滅に取り組む国際社会の努力を大きく阻害する」と問題視した。

 さらに、国内市場管理の強化をうたった昨年の種の保存法改正についても「喫緊の課題の解決につながらない」
と批判した。

 その上で、東京五輪・パラリンピックに向けて外国人旅行者が増加することで違法輸出が増える恐れがあるとして、
インターネットも含めた取引の原則禁止を求めた。

 象牙の国内取引を巡っては、米国や中国など各国が、密猟によるアフリカゾウの絶滅の恐れを懸念して閉鎖を進めている。
一方、日本は「国内の取引は密猟と無関係」と主張し、生息国などから批判を浴びている。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018011102000248.html