今年7月、110年ぶりに大きく改正された刑法。「強姦罪」が「強制性交等罪」に名称変更され、膣だけでなく肛門・口での性行為も構成要件となったほか、男性も対象となった。また、法定刑は「懲役3年」から「懲役5年以上」に引き上げられた。改正のわずか2週間後には、
福岡県で飲食店経営の男(41)が男子中学生に強制的に性行為を行ったとして逮捕されている。しかし、被害者が受けた心の傷の問題は、そう簡単に解決するものではない。12日のAbemaTV『AbemaPrime』では、被害者と今後の課題を議論した。

「もちろん社会全体にとってはすごく大きな一歩だが、素直に“おめでとうございます“とは言えない。男性被害者への支援やカウンセラーは少なく、無知な人も多いので、勇気を出して告白しても茶化されたり、軽く扱われたりする可能性もある。そういうことがクリアされなければ先に進まない」。

 今回の法改正について、レイプを経験した男性被害者の暗器使い(Twitter上での名前)さんはそう指摘する。

 中学生時代、いじめの延長で性暴力の被害に遭ったという暗器使いさん。男性器にカッターを突きつけられ「早く射精しないと切り落とすよ」と脅され、女性生徒の前で自慰行為を強要されたこともあるという。「泣きながら死に物狂いで射精したことも何度もあった。
女性の加害者のひとりが『リンチしながらの方が面白い』と提案、殴る蹴るの暴行を受けながら自慰行為をさせられこともあった」。

 そして中学1年の夏、上級生からのレイプ被害に遭った。野球部の先輩の男性器を口に含まされ。首を絞められながら肛門をレイプされた。また、「いじめグループの3年生の主犯格の先輩のひとりに個人的に呼び出され、初めて強姦被害を受けた。被害は先輩が卒業するまで続いた」。

 生まれつき重度の障害をもった兄がいた関係で、両親にはほとんど相談に乗ってもらえず、裸にさせられる様子を目撃した学校の先生も見てみぬふりをしたという。

 いじめの中で受けた様々な肉体的・精神的暴力の中で「性暴力が一番つらかった」と話す暗器使いさん。慶應大学の若新雄純特任准教授は「殴ったり物を壊されたりという“目に見える被害“よりも、性的な部分で一瞬でも恥をかかせられたことの方が本人にとって重く、傷が深いこともある。
心は元に戻らないのに、どうしても軽く見られてきた部分があるのではないかと思う」と話す。


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