過去に自殺を考えたことがある人は2割に上り、そのうち2割が実際に自殺を試みた経験があることが、
埼玉県が行った県民アンケート調査の結果で分かった。

 相談先は家族など身近な人が上位を占めたが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの
インターネットのサイトを挙げる人が公的機関の窓口を挙げる人を上回るなど、相談窓口に関する周知が
不足している実態も浮かんだ。

 アンケートは今年5月、県内在住の2916人に対してインターネット上で実施、2037人から回答を得た。

 調査結果によると、これまで本気で自殺を考えたことがある人は21・1%で、そのうち22・0%は実際に
自殺を試みた経験があった。自殺を考えた理由は、「職場や学校での人間関係の不和」(25・1%)、
「家族関係の不和」(22・3%)などだった。

 自殺などの悩み事の相談先では、「家族・親族」(69・8%)、「友人・恋人」(42・0%)が上位を占める一方、
「インターネットのサイト(SNS・掲示板など)」が4・2%で、「公的機関の相談窓口」(3・1%)、「民間組織の
相談窓口」(1・1%)を上回った。

 神奈川県座間市で男女9人の遺体が見つかった事件では、SNSで自殺志願をした人が被害に遭うなどしており、
ネットを相談先と考える人が一定程度いることが、調査でも裏付けられた形だ。一方で、効果的な自殺予防の
対策では、「相談窓口の周知」が37・6%と最多を占め、相談先の認知が進んでいない状況が調査を通して
浮き彫りになった。

 警察庁の都道府県別自殺者数の統計によると、昨年の埼玉県内の自殺者数は1254人で、東京都に次いで
全国2番目の多さ。県疾病対策課は「自殺対策強化月間の街頭キャンペーンなどで相談窓口の周知を図ってきたが、
不十分だった。今後、ツイッターなど様々な媒体で情報提供していく必要がある」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20171205-OYT1T50033.html