神戸製鋼 製品の検査データ改ざん 複数の役員が黙認
「神戸製鋼所」が製品の検査データの改ざんを繰り返していた問題で、現場の従業員だけでなく、過去の複数の
役員も不正を認識していたことが関係者への取材でわかりました。長年にわたって不正が黙認されていたということで、
会社の法令順守の姿勢が厳しく問われることになりそうです。
神戸製鋼は、アルミや銅など多くの製品で強度などの検査データの改ざんが相次いで発覚し、これまでに不正に
関わっていた従業員は工場の担当者などこの1年間だけで数十人に上ることが明らかになっています。
会社側は過去も含めて本社の役員が不正を知っていたかどうかについては調査中だとして、公表していませんが、
過去の複数の役員がデータの改ざんを認識していたことが関係者への取材で新たにわかりました。
不正を認識していた役員はいずれもアルミなどを製造する工場で勤務していたときに、データの改ざんを知ったということで、
その後、工場長などを経て本社の役員になりましたが、不正については黙認していたということです。
また、検査データの改ざんは少なくとも40年ほど前から行われていたということで、会社の経営陣の間で不正の
情報が共有されず、対策が取られませんでした。
元役員の1人はNHKの取材に対し、複数の役員が不正を認識していたことを認めたうえで、「不正の背景には納期優先、
コスト優先の考えがあり、工場にプレッシャーをかけた経営陣にも責任がある」と話しています。
神戸製鋼の一連の問題では、弁護士でつくる外部の委員会が不正の実態を調査していますが、会社の法令順守の
姿勢が厳しく問われることになりそうです。
影響は海外にも
神戸製鋼所の検査データの改ざん問題は、先月8日に発覚しました。
不正が見つかった製品の出荷先は、およそ200社に上り、高い安全性が求められる自動車や新幹線、それに
航空機などに使われていました。
その後も鉄鋼製品などで次々に不正が発覚し、問題の製品の出荷先は、国内外のおよそ500社にまで拡大しました。
影響は海外にも広がり、アメリカの司法省が神戸製鋼に対し、一連の問題に関する資料の提出を求めたのに続き、
ヨーロッパ航空安全局は安全性が確認されるまで神戸製鋼の製品を使用しないよう航空会社などに勧告しました。
製品の安全性の確認は、現在も進められていて、依然、海外の企業を含む82社で安全性の確認作業が終わっておらず、
最終的なめども見通せない状況になっています。
また、先月26日には、JIS=日本工業規格の認証機関が神戸製鋼の子会社の神奈川県の工場で生産する一部の
製品について、認証を取り消したと発表。
取引先の間では、神戸製鋼に対し、部品の交換費用を請求したり、取り引きを打ち切って調達先を切り替えたりする
動きも出てきています。
このため、神戸製鋼では、先月30日、問題がどこまで広がるか見通せないとして、3年ぶりの黒字を見込んでいた
最終的な損益を「未定」とし、開示を見送りました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171103/k10011209781000.html