<社説>自公3分の2 大政翼賛政治を危惧する
森友、加計学園の「疑惑隠し解散」「説明責任なきリセット解散」と言われた衆院選は自民党の圧勝で終わった。

自民、公明両党の議席は自民の追加公認を合わせて定数465の3分の2(310)を超え、憲法改正の国会発議も可能になる。
しかし、比例代表の得票率を見ると、立憲民主党と希望の党を足せば自民を上回る。民進党分裂が自民圧勝を後押ししたようなもので「安倍1強」は強固ではない。
政権が信任されたとして、再び強引な政権運営をすれば、たちまち求心力を失うだろう。

選挙の結果、希望の党と日本維新の会を合わせると改憲勢力が国会全体の約8割を占めることになった。
これまで安倍政権下で審議された一連の重要法案は、熟議をせず数の力で成立させてきた。
特定秘密保護法、「共謀罪」法、安保関連法しかりである。改憲論議を性急に進めてはならない。

<中略>

8月の内閣改造後の記者会見で安倍首相は「深く反省し、国民の皆さまにおわび申し上げたい」「国民の皆さまの声に耳を澄ます」と述べた。
しかし、臨時国会冒頭で所信表明演説もせず、野党の質問も受け付けず、一方的に衆院を解散した。
今回も衆院選後の会見で「今まで以上に謙虚で真摯(しんし)な政権運営に努めたい」と述べた。この言葉を100パーセント信じる国民が、どれだけいるだろうか。

現憲法が体現してきた戦後の平和民主国家の歩みが揺らいでいる。
戦前のような大政翼賛政治にならないように、主権者である国民は政治に目を光らせる不断の努力が求められる。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-600650.html
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/f/f1/Taisei_Yokusankai.svg/180px-Taisei_Yokusankai.svg.png