アディーレ業務停止、広がる混乱 弁護士に会えず途方に

 お笑いタレントを起用した過払い金返還請求のCMなどで知られる「アディーレ法律事務所」が11日に東京弁護士会から
業務停止2カ月の懲戒処分を受けたことで、顧客に混乱が広がっている。同弁護士会の相談電話には3日間で計約2700件の
相談が殺到した。

 「どこにも電話がつながらない。どうしたらいいのか」。埼玉県のアルバイト男性(57)は処分翌日の12日午前、東京都足立区
にあるアディーレの支店近くの路上で途方に暮れていた。担当弁護士を訪ねたが、会えないという。

 信販会社などへの債務約500万円を整理しようと、3カ月前に自己破産手続きを依頼した。返済の督促が強まることを危惧する。
弁護士会の相談窓口に電話したがつながらなかった。「CMも多く流し、信用できると思ったのに」

 約200万円の債務整理を頼んだ埼玉県在住の派遣社員の男性(24)は問い合わせた支店から「書面で知らせるので待って欲しい」
との回答を受けたまま連絡が無い。ツイッターで顧客同士の情報交換を続けるが、怒りの矛先は東京弁護士会にも向く。
「混乱は想定できたはず。弁護士会ももっと責任ある対応をしてほしい」

 影響は全国に及び、大阪や福岡、新潟の弁護士会で電話相談を受け付ける。事務所の公式サイトは11日に閉鎖。
裁判所はアディーレの弁護士が関わる訴訟の期日調整などの対応に追われている。

 アディーレは、元代表社員の石丸幸人氏=業務停止3カ月=が2004年に設立した個人事務所が前身。石丸氏はテレビ番組
「行列のできる法律相談所」への出演でも知られ、CMで積極的に業務を宣伝してきた。東京・池袋の本店のほか47都道府県に
85支店を展開し、所属弁護士数は国内6位(16年3月現在、弁護士白書)で、現在も180人を超える。

 急成長の理由に挙げられるのが、消費者金融などの多重債務者らが払いすぎた金利(過払い金)を返還請求する訴訟を集中的に
受任したことだ。同種訴訟の提訴は06年に最高裁判決が「グレーゾーン金利」を原則無効としたことを機に急増。05年の約4万件から
ピーク時の09年は14万件に上った。
http://www.asahi.com/articles/ASKBK5JQ6KBKUTIL037.html