彼の名は、岩野響(ひびき)くん。15才の珈琲焙煎士だ。小学3年でアスペルガー症候群と診断され、中学で不登校になった。施設に入るものの、
自分に合うものはなかなか見つけられなかった。そんな彼がこの春、高校進学はせず、自らの珈琲豆販売店を開店。
「500円でも自分の力で稼げるように」、そんな両親の思いを大きく上回り、わずか2か月後には、焙煎が追いつかない爆発的人気を呼んだ。

いろいろ試した中で、珈琲なら仕事としてやっていけそうだってなりました。凝り性ですから、長い時は5時間くらい焙煎機のハンドルをくるくる回してましたね。
それも2年間、毎日(笑い)。

そうして2017年4月1日、ひーくん(響くん)が自分で焙煎した珈琲豆を販売するお店『ホライズン・ラボ』をオープンさせました。

「純粋に珈琲の勉強を頑張ってきたのに、“障がい”ってなると全部障がいに吹き飛ばされちゃうんですよね。でも、
健常者として扱われたってこの子は苦しい。その日に、上毛新聞の取材依頼が来たんです」(父・開人さん)

〈閉店後、記者を交えて数時間に及ぶ家族会議が開かれた。そして、その3日後に《優れた味覚生かしコーヒー豆焙煎 発達障害の15歳が開店》という
新聞記事が世に出たのだった。

そのことが大きな変化をもたらした。テレビ取材も殺到し、小さな街は大渋滞を起こすようになってしまう。

多くの人が彼のために、と続々と協力を申し出てくれた。輸入業者からは、珈琲豆の輸入時に使うコンテナを無償利用していいという申し出や、
同業者からは高額な焙煎機を譲渡しますという申し出だ。

響くんの珈琲は月替わりの1種類。ある月はガツンと濃厚で深みのある味。ある月は香り高くすっきりした味。いろいろな表情をみせる、響くんの珈琲。

ひーくんにはできないことがいっぱいあります。日によって、環境によって、体調によってできない度合も変わります。でも、あらかじめ障がいのことをわかっていれば、
問題なく暮らしていける。どういうふうに考えてるの、見えてるのって、彼の世界を面白がれる社会になったらいいなって思うんです。

http://www.news-postseven.com/archives/20171010_619464.html
【焙煎が追いつかないほどの人気】
https://parts.news-postseven.com/picture/2017/10/1738_iwano_hibiki.jpg