【ベルリン時事】15日投票のオーストリア国民議会(下院)前倒し選挙まで1週間。「反難民」の
極右野党・自由党が一定の勢力を保っており、結果次第では連立政権入りする可能性がある。
躍進を果たせば、難民受け入れに否定的な欧州各国の右派政党が勢いづき、さらに存在感を
増すことになりそうだ。
2015年の欧州難民危機でオーストリアは中東やアフリカから西欧や北欧を目指す難民の
通過ルートになった。大量の難民が流入したことで日常生活に混乱が及び、国民の
対難民感情が悪化。選挙では難民政策が主要争点だ。
自由党は選挙戦で「イスラム教はオーストリアの一部ではない」と強調し、流入に対する
国民の不安の受け皿になってきた。各種世論調査によれば、多文化社会の重要性を
訴えるケルン首相の中道左派・社会民主党と支持率25%前後で第2党の座を争っている。
現政権に参加する保守系の国民党が支持率30%台前半でトップ。31歳の若さで党首を
務めるクルツ外相の人気が高く、難民政策の厳格化方針も好感されてきた。順当なら
次期政権は国民党と自由党の連立になるという見方が多い。
自由党は00年に国民党と連立政権を樹立した経験があり、一部の州では現在も連立に
参加している。専門家は「自由党の政治家から過激発言が出ることは少なくなっており、
国民から政権担当能力があると認められてきている」と指摘する。
隣国ドイツで9月に行われた連邦議会(下院)選挙では、「反難民」の新興右派政党「ドイツの
ための選択肢」(AfD)が国政進出を果たし、一気に第3党になった。
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