国や沖縄県などが世界自然遺産の登録を目指すやんばる地域の現地調査が来月にも迫り、名護市辺野古の新基地建設を議題に載せるかが焦点になっている。
登録の審査を担う国際自然保護連合(IUCN)が、登録候補地に近接する大浦湾で進む新基地建設問題を「議論する必要がある」としたのに対し、県は「審査過程とは別に議論してほしい」と回答した。
県には新基地問題を絡めれば登録の支障になるとの懸念があり、やんばる地域の世界自然遺産の実現を最優先させたいという思惑が働いた格好だ。(社会部・篠原知恵)

■登録に何年かかるか

発端は、翁長雄志知事が4月にIUCNの事務局長に宛てた書簡だった。
新基地建設による環境問題を検証し、日米両政府に建設断念を働き掛けてほしい−としたためた。
すると5月、事務局長から指示を受けた自然遺産の事前審査責任者から「現地調査時に議論する必要がある」「県が関係機関と調整するよう提案する」との返書が届いた。

「誤算だ。新基地問題が審査に絡めば、登録に何年かかるか」。
県幹部は明かす。160カ国以上の政府機関などが加盟する自然保護ネットワークでもあるIUCNは、登録可否を最終判断する国連教育科学文化機関(ユネスコ)に審査の結果を諮問する機関にもなっている。

別の県幹部は「知事の書簡は、IUCNが持つユネスコの諮問機関という立場ではなく、世界規模のネットワークの発信力に期待したつもりだった」と語る。

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/139461
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