細菌のDNAに動画記録 ゲノム編集で再生にも成功 米ハーバード大チーム - 産経ニュース

 生物の遺伝情報を自在に改変できるゲノム編集技術を応用し、生きた大腸菌のDNAに動画データ
を記録し再生することに米ハーバード大などのチームが成功した。英科学誌ネイチャーに発表した。

 DNAは塩基と呼ばれる4種類の物質が連なっている。

 塩基は文字に相当し、複数の組み合わせ配列で遺伝情報を表す。

 同大のセス・シップマン研究員は、馬が人を乗せて走る様子を映した数秒の白黒動画のデジタルデータ
を、4種類の塩基の並び順で表した人工DNAを作成。ゲノム編集技術「クリスパー・キャス」を使って大腸
菌のDNAに組み込み培養した。

 その後、DNAを取り出し解析。塩基配列から動画を復元したところ、約90%の精度で再生に成功した。

 再生に失敗したノイズ部分は大腸菌が世代交代でDNAを複製する際、一部でエラーが起きるなどし
て生じたとみられる。

 ゲノム編集は従来の遺伝子組み換え技術より格段に精度が高く、農作物や医学分野で応用が進ん
でいる。今回の研究は細菌を録画装置に使うという意外な分野に応用の可能性を広げた格好だ。(伊藤壽一郎)
http://www.sankei.com/life/news/170821/lif1708210009-n1.html

ゲノム編集技術で生きた大腸菌のDNAに記録された後、再生されたアニメーションの1コマ
(セス・シップマン氏提供)
http://www.sankei.com/images/news/170821/lif1708210009-p1.jpg