【陜川(ハプチョン)(韓国南部)で米村耕一】在韓被爆者が多く住むことから「韓国の広島」と呼ばれる韓国南東部・陜川で広島への原爆投下から72年の節目となる6日
、韓国初となる原爆資料館がオープンした。開館式典では、
自らも家族に被爆者を持つという河敞喚(ハ・チャンファン)・陜川郡守(町長に相当)が「資料館を通して原爆被害を広く伝え、非核化と平和の先頭に立っていきたい」と述べた。

 広島や長崎では朝鮮半島出身者も数万人規模で被爆したとも言われ、韓国内の約2500人の被爆者のうち約600人が陜川に住む。原爆資料館の建設は、
その存在が内外で十分に知られていないとの思いを持つ在韓被爆者やその2世、3世にとって念願だったという。7歳の時に広島市内で家族とともに被爆した
陜川在住の尹小連(ユン・ソリョン)さん(79)は資料館の展示を見て「後世に被害の重さを伝えることができるということで非常にうれしい半面、
当時を思い出して胸が痛む」と涙ぐんだ。陜川からは朝鮮半島が日本の植民地だった当時、職探しや軍需工場への徴用などで多くの住民が広島に渡っていた。

 資料館は2階建ての約320平方メートル。1階の展示室では原爆の仕組みや陜川在住被爆者の証言、日韓両政府の在韓被爆者への対応などが紹介され、2階には、
在韓被爆者に関する資料や過去に日本で行われた在韓被爆者の権利拡大に向けた訴訟関連資料などが保管されている。建設費は陜川郡や韓国の宝くじ協会などが支援した。

 在韓被爆者については1990年に日韓両政府が支援のために各40億円を拠出することで合意。96年にそれを原資に支援のための「原爆被害者福祉会館」
が陜川に建設された。また、在外被爆者への日本政府による医療支援について全額支給を認める最高裁判決が2015年に確定している。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170806-00000071-mai-kr