中国主導で設立されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の「Aaa(トリプルA)」の格付けを得た。
低金利で債券を発行して資金を調達できることを意味する。
主要7か国(G7)でAIIBに参加していないのは日米だけという状況の中で、
「中国主導では信用力に問題があり、高い格付けが得られずに資金調達に苦労する」と牽制してきた日本の思惑は、完全に外れたといってよい。
途上国金融を巡る日米vs中国の争いは、ひとまず中国優位で「勝負あった」格好だ。

中略

米国も、米主導の国際秩序への中国の挑戦を警戒しているが、一方で、朝鮮情勢を含めた国際関係全般の中で、米中協調の必要もあり、
とりわけ、「多方面の課題を組み合わせて『取引』で利益を得ようとするトランプ外交で、
米中が手を握るという最悪の事態も考えておく必要がある」(全国紙経済部デスク)。

日本が外から批判するだけでは影響力が限られるのも事実だ。
安倍晋三首相は6月5日に東京都内であったベトナム、ラオスの首相やアジア各国の政府高官らが参加した国際会議で、一帯一路について「日本も協力していきたい」と述べた。
これは、中国との関係改善のシグナルを送ったものと受け止められるが、AIIBの扱いを含め、具体的にどう対応していくかは未知数。

「日米はそろそろAIIB加盟の是非を真剣に協議してはどうか」(日経新聞社説、6月21日)との指摘もある中、
中国とどう対峙していくのか、安倍外交の課題であり続ける。

日本が孤立の恐れも? AIIBが「トリプルA」の衝撃
https://www.j-cast.com/2017/07/16302724.html?p=all