四〜六月は狂犬病予防注射月間だ。国内の狂犬病感染者は六十年以上いないが、海外では年間五万人以上が狂犬病で亡くなっているという。
海外から感染した動物が持ち込まれる恐れがあるとして、飼い主には市町村に犬を登録し、毎年、予防注射を打つことが法律で義務づけられている。
一方、犬猫向けの任意の混合ワクチンは種類がいろいろあるので獣医師と相談して接種させるとよい。それぞれのポイントをまとめた。 (中村康利)
 厚生労働省によると、狂犬病はすべての哺乳類に感染し、人も動物も発症するとほぼ100%死亡する。国内で人が感染したのは一九五六年が最後だが、二〇〇六年、フィリピンで犬にかまれた男性二人が帰国後に狂犬病で死亡した。
 狂犬病を防ぐため、飼い主は犬を取得した日から三十日以内に市町村に登録しなければいけない。毎年一回、四月一日〜六月三十日に予防注射を受けさせ、注射済票を犬の首輪などに着けることが法令で義務付けられている。
 狂犬病予防注射は市町村が行う。委託された動物病院で個別に注射する方法と、指定された公園などに集まって受ける方法がある。どの方法で行うかは市町村によって異なる。両方ある場合は、飼い主が都合の良い方を選ぶ。費用も自治体で違う。

 世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、犬猫のワクチンには、世界中に感染域が広がり感染すると死に至る恐れのある重度の疾患から動物を守る「コアワクチン」と、特定の地域などで感染の恐れがある病気に対する「ノンコアワクチン」がある。
 犬の場合、コアワクチンは犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルス2型。混合ワクチンは、これらにレプトスピラやパラインフルエンザウイルス感染症のワクチンを加えている。混合ワクチン一本に含まれるワクチンは四〜十一種類ほどある。
 猫の場合は、コアワクチンは猫汎白血球減少症ウイルス、猫カリシウイルス、猫ヘルペスウイルス1型。猫の混合ワクチンはこれらにクラミジアなどを加え、三〜五種類ぐらいある。

海外では年5万人以上死亡の狂犬病 飼い犬は必ず予防注射を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201705/CK2017052602000198.html