ガンダム主人公はバッドエンドばかり?

一年戦争だけ見れば、アムロもまずまずハッピーな結末か。画像はバンダイナムコアーツ「U.C.ガンダムBlu-rayライブラリーズ 機動戦士ガンダム」(C)創通・サンライズ

 アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズは、1979(昭和54)年の第1作TVアニメ『機動戦士ガンダム』に始まり、令和のいまなお続く人気作品です。最新作『水星の魔女』にて、主人公のスレッタ・マーキューリーはハッピーエンドを迎えましたが、歴代の作品で主人公たちを待ち受けていたのは、なにもかもハッピーといえる結末ばかりではありませんでした。むしろ悲惨だったほうが多いのではないか、という印象すらあるのではないでしょうか。

 実際のところはどうなのでしょう。ひとまず「宇宙世紀シリーズ」に分類されるTVアニメおよび劇場用アニメ作品(一部OVA)について、その結末を見ていきます(原作マンガがまだ連載中の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』は除きました)。

 ただ、ハッピーか否かというのは、個人の価値観に大きく左右されるものです。よって、以下に記すのはあくまでひとつの見方にすぎないことにご留意ください。また、当然ながら物語の核心部分に触れるネタバレや、キャラクターの生死に関わる記述がありますので、その点にもご留意ください。

●アムロ・レイ(『機動戦士ガンダム』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)

 初代主人公のアムロ・レイは、その初登場作品である『機動戦士ガンダム』にて、RX-78「ガンダム」を駆り、一年戦争を戦い抜きました。のちに劇場公開された『逆襲のシャア』にて再び主人公を務め、そのラストで、シャアが企図した「アクシズ(小惑星を改造した要塞)」の地球落下を阻止するも、のちの消息は不明となってしまいます。後年、『機動戦士ガンダムUC』において、死亡したと受け取れる言及がなされました。

 いわゆる死亡エンドということになるのでしょう。それだけを見ればバッドエンドといえるかもしれませんが、それでも目標であった「アクシズの落下阻止」「シャアとの決着」は達成したと見ることができます。アムロの周囲では、敵対していた者同士が手を取り合う姿も見られました。よってバッドの手前、ほろ苦いビターエンドといったところではないでしょうか。

●カミーユ・ビダン(『機動戦士Zガンダム』)

 壮絶なラスト、といえばカミーユが筆頭でしょう。最後の、「おーい、出してくださいよ。ねえ?」というセリフは衝撃的なものでした。この「討ち取ったシロッコの思念を取り込んで精神を病んでしまう」という結末は広く知られますが、実はその前、シロッコとの最終決戦の最中から、死者の思念と寄り添い溶け合うような描写はなされており、すでに不味い状態であろうことが見てとれます。最強すぎるニュータイプは、死者とすら通じ合えるということなのでしょうが、客観的に見てそれが健全といえるかどうか、疑義が挟まるところでしょう。

 全体的に見れば「ティターンズ(およびシロッコ)の撃滅」という目標は達成したものの、ハマーンには逃げられ、シャアもまた地球連邦を頂点とする現行体制に見切りを付けたと受け取れ(ただし本編中は姿をくらましたような描写のみ)、世界は全くもって不穏なままです。よってバッドエンドといって差し障りはないでしょう。さすがにやりすぎたと思ったのか、のちに富野監督は劇場公開された通称『新訳Z』にて、この悲惨な結末を大きく変更しています。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/4e39a4ca1ad181aeb1a31f55eb47817c425ac372