【石井正忠 タイサッカー3冠監督日記】

 2023/2024年シーズンのタイリーグ1部が開幕しました。 

タイ史上初の2年連続3冠達成! ブリーラム石井正忠監督「さらなる高みを目指す」

 第1戦は、タイ北東部の中核都市コンケーンに乗り込み、昨季13位(全16チーム)のコンケーン・ユナイテッドと対戦しました。

 ブリーラム・ユナイテッドは昨季のリーグ戦、FA杯、リーグ杯のすべて制覇し、2シーズン連続で3冠を達成することができました。

 これはタイで初めての偉業でした。私自身も大きな達成感に浸ることができましたし、何よりもブリーラムの選手たち、熱烈に応援してくれるサポーターたち、そしてオーナーをはじめとするチームを支える皆さまに改めて感謝の気持ちを表したいと思います。

 今季開幕戦は、3年連続のテリブル(3冠)を狙うチームとして、アウェーのプレッシャーをはねのけ、きっちりと勝利を収めて勝ち点3を持ち帰ることが求められます。

 しかし、攻めても攻めてもゴールを決めることができず、PKの失敗もあってコアレスドローという結果に終わりました。

 私は、ベンチに座って試合の行方を注視しました。

リーグ戦第3節を終わって2位の好位置 

 コンケーン・ユナイテッドのスタジアムのピッチはお世辞にも良好とは言えず、ブリーラムの選手たちは普段通りの実力を発揮することが、なかなか難しい状況でした。 

 しかも、ここのスタジアムというのは、一種独特の盛り上がり方を見せることで知られています。

 この日の観客数は6500人でしたが、地元チームを熱狂的に応援する声、相手チームに向けられる厳しいブーイングが「観客数以上の迫力となって」聞こえてくるところなのです。

 ブリーラムの選手たちには、決して苦手意識があるわけではないのですが、昨季も一昨季も「チームの総合力の違い」を披露できたとは言い切れず、今季は0−0決着となりました。

 ホーム開幕戦となった第2節は、昨季10位のランプーン・ウォーリアーズを3−0で退け、続く第3節は、昨季12位のスコータイFCとのアウェー戦も0−1で勝利して勝ち点3を積み上げ、首位のバンコク・ユナイテッドと同じ2勝1分け・勝ち点7ながら、得点差で2位に甘んじていますが、まずは「ブリーラムらしいポジション」に着けています。

 さて、自分自身の現況をお伝えしたいと思います。

■2026年W杯タイ代表出場のために尽力

 実は第2節、第3節とブリーラムのベンチに私の姿はありませんでした。

 今季開幕前にタイサッカー協会(THA)の技術委員長(テクニカル・ダイレクター)への就任要請が届き、第2戦以降は戦列を離れているからです。

 ブリーラムは現在、元横浜F・マリノスで2000年までコーチを務めていたオーストラリア国籍のアーサー・パパス氏が指揮を執っています。 

 2019年に横浜F・マリノスのコーチに就任してJ1制覇を経験。2020年で退任した後、2021年はJ3鹿児島で采配を揮いました(同年5月に退任)。 

 今シーズンは「3年連続の3冠、ACLでベスト8以上の成績を収めよう!」と、今シーズン最初のミーティングで選手と話をしましたし、オーナーとも共有したので、途中でチームを離れることは非常に残念でなりませんが、今後はタイサッカー発展のために、近い目標としては2026年W杯にタイ代表が初出場するために尽力していきたいと思っています。

 アナウンスできるタイミングがありましたら、このコラムでお伝えできれば、と思っているところです。

 それでは、また。
(石井正忠/タイ1部ブリーラム監督)

https://news.yahoo.co.jp/articles/aa1c818b72ef554b154644b90aeba0cea688c66b