「週刊文春」編集部

 1989年の結成以来、絶大な人気を誇る国民的ロックバンド「Mr.Children」のマネジメント会社「エンジン」に、2022年11月21日、証券取引等監視委員会(証取委)の家宅捜索が入っていたことが「週刊文春」の取材でわかった。証取委による捜査は着々と進んでおり、「東京地検特捜部に本格的な捜査のバトンが渡るのも、時間の問題」(捜査関係者)だという。

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 音楽業界関係者が明かす。

「知人が家宅捜索があった日に、何気なく『エンジン』に立ち寄ると見知らぬ男たちが段ボール箱にせっせと物を詰めていたようです。『何かあったんですか?』と驚きを隠せない様子でした。

 会社社長には何日か電話がつながらず、従業員もしばらく出勤停止。最初は誰も状況が呑み込めませんでした」

『エンジン』の代表取締役を務めるのは谷口和弘氏(46)。若き日からミスチルに仕え信頼を勝ち得てきた最側近だ。

「谷口氏は、自身が大株主だった企業の株価を吊り上げようと、虚偽の情報を公表した金融商品取引法違反(偽計)の不正行為に関わった疑いがもたれているのです」(前出・捜査関係者)

 谷口氏は1997年に地元・三重県から上京、当時ミスチルのマネジメントをしていた「烏龍舎」の子会社で、機材を運ぶアルバイトから音楽業界のキャリアをスタートさせた。自身が学生時代、サッカーに熱中したこともあり、ボーカル・桜井和寿の趣味であるサッカーチームに呼ばれ、交流を深めていった。

知り合いのコンサル会社社長が提案した「偏差値が高めのスキーム」

 2014年にはミスチルとともに「烏龍舎」から独立。株式会社「エンジン」を設立し、所属事務所社長の地位を得ていた。

 だが、谷口氏は2019年、今回の捜査に繋がる、ある儲け話に乗ってしまうことになる。

「谷口氏にはミスチルの関連会社に約3億円のプール金がありました。その運用を考えていた際に相談したのが、付き合いが長かった港区芝大門のコンサル会社の社長です。彼が谷口氏に提案したのが、自身が筆頭株主になる大阪の老舗衣装卸との株式交換。いかにも野村證券出身らしい、偏差値が高めのスキームでした」(同前)

 その結果、証取委から捜査を受けるに至ったのだ――。

 8月22日(火)12時配信の「週刊文春 電子版」及び23日(水)発売の「週刊文春」では、谷口氏が巻き込まれた事件の詳しい経緯に加え、桜井や谷口氏が記者の直撃にどう答えたかなどを詳報している。

https://bunshun.jp/articles/-/65198