2023年7月22日 21時24分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/264822

 3月に亡くなった音楽家坂本龍一さんの遺志を継ごうと、東京・明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める2回目のデモ集会が22日、外苑であった。懸案の高木の伐採が9月にも始まるのを前に伐採の中止をあらためて呼びかけた。

◆「一つのテーブルで話し合える環境を」

 坂本さんと共に社会運動に取り組んできた人たちが企画した。登壇者からは、十分な説明がないままに計画が進んだことや、批判的な意見に向き合おうとしない事業者側の姿勢に問題提起する声が相次いだ。

 外苑近くにある現代アートのワタリウム美術館の和多利浩一さんは「本当に高層ビルが必要なのか。立ち止まって、行政や事業者の人たちと一つのテーブルで話し合える環境がほしい」と要望。開発の見直しを求めてきた上智大2年の楠本夏花さんは「人々の声が無視される一方的なまちづくりではなく、事業者と住民が納得し合ったまちづくりが行われるよう声を上げたい」と訴えた。

 ミュージシャンの後藤正文さんは「どうやったら社会が変わるのか坂本さんと話し合ってきた。いろんな人がいて意見も一緒ではない。だけど話し合ってやれることを見つけないといけない」と発言。終盤には、参加者が10人弱ずつ車座で対話する場を設けた。開催の直前、主催者は各事業者や東京都知事らに対話への参加を要請する文書を送ったが、出席しなかった。

 事業者側は17~19日に近隣住民向けに説明会を開いた。初日に批判的な意見が相次いだが、計画の大枠について見直しは行わない方針だ。(森本智之)