2023.05.03

著者:
中村智弘







単独インタビュー 安倍元首相の銃撃事件当日、翌日の対面を振り返る

 政治ジャーナリストで元NHK解説委員の岩田明子さん。故・安倍晋三元首相に“最も食い込んだ記者”として知られている。2002年、当時官房副長官だった安倍元首相の番記者を担当して以来、20年以上に渡って取材をしてきた。
だが、22年7月8日に安倍元首相は演説中に銃撃され、亡くなる。あの時、岩田さんは何を思って、どのような対面を果たしたのか、振り返ってもらった。(取材・構成=中村智弘)


 安倍さんが銃撃されたという一報は、NHKの関係者から聞きました。ちょうど、永田町に向かって歩いているときです。「安倍さんが撃たれたみたいだが、ちょっと深刻かもしれない」と伝えられました。「まさか、そんなこと」と思いました。
 強運の持ち主で、晴れ男。雨の予報であっても現地に赴けば晴れてしまう。絶対に、弾は当たっていないはずだと根拠もなく確信をしていました。すぐに安倍さんの携帯に電話をしましたが、つながりません。ひとまず、渋谷のNHK放送センターに戻ることにしました。

 きっと取り込んでいるのだろう。手が空けば、すぐにコールバックがきて「大変だったけど、大丈夫だから!」と電話がくると信じていました。でも、握りしめた携帯には、一向に連絡がこない。報道を見ていると、どんどん深刻な状況になっていて、私は頭が真っ白になりました。動悸(どうき)が激しくなるのが自分でも分かりました。
 同行していた秘書に電話したり、他社の記者からも問い合わせや連絡があったりして、情報は錯綜(さくそう)していました。ただ、時間がたつにつれて、周辺の人たちが「とにかく祈ろう」と口にし始めました。私もひたすら祈ることにしました。

 亡くなったことを知ったのは、NHKの廊下でした。涙が止まらなかったです。必ず助かると信じていましたから、どうしてこんなことになるのか? と頭が混乱しました。
「日本のために」が口癖で、持病を抱えながらもストイックに頑張ってきた一国の指導者が、なぜ選挙期間中にテロで命を落とさなければならないのか。こんな悲劇が起こるはずがないと、現実を受け入れられずにいました。
      ===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://encount.press/archives/449688/