フジテレビ系の朝のワイドショーが谷原章介の「めざまし8」になって間もなく1年半──。テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」を追いかけるため、「とくダネ!」からのリニューアルだったが、いまだ背中も見えない。世帯視聴率は5%前後で、2ケタ台の「モーニングショー」にダブルスコアで置いていかれている。

 谷原はなぜ羽鳥に追いつけないのか。テレビ雑誌編集デスクは「プロの司会者と、司会者という役を演じている俳優の決定的な差です」と言う。

「2人ともスマートでソフトなところは似てるんですが、羽鳥はアナ歴30年近い大ベテラン。番組の中で玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)が暴走したら、石原良純(タレント)を噛ませて中和したり、この話題はストレートなコメントで盛り上げたいという時は、長嶋一茂(スポーツキャスター)に勝手にしゃべらせておく。番組の進行だけでなく、その場その場の演出を考えながら司会をしてます。それに比べ、谷原は台本(番組進行表)通りに進めるのが上手な司会者と思っているのか、盛り上がりそうなおいしいことをコメンテーターが言ってくれても、食い付かずにスルーすることが多い。アドリブが利かないというより、自分がイメージする司会者という“役”から外れることができないんでしょうね」

 谷原は、社会問題や政治の話題に自分なりの意見を挟もうとするのだが、「うたコン」(NHK)など他の出演番組へのハレーションが気になるのか、当たり障りのない“感想”に終わってしまう。ときに、「政府の説明は支離滅裂です」とはっきり批判する羽鳥とは、ここでも違う。

「めざまし」はCMスポンサーが好感

 番組そのもののつくりも、「めざまし8」と「モーニングショー」ではデキが違う。「めざまし」には「Newsわかるまで解説」というコーナーがあって、「モーニングショー」の玉川が担当の時事解説コーナー「そもそも総研」と羽鳥パネルのいいとこ取りを狙っているのだが、内容がアバウトなのである。

 たとえば、「秘話チャールズ国王即位」というテーマでは、英国王室に詳しいジャーナリストの分析やコメント、英国の大衆紙の記事を並べただけで、独自情報はほとんどない。さらに、同じ映像が何回も流れるなど、中身の薄さは一目瞭然。こうした細かいところに粗さが目立つ。

 ただ、「めざまし」は購買意欲が高い20〜40代の女性の視聴率が「モーニングショー」より高く、CMスポンサーに好感されているという。しかし、食品大手の広告担当者は首をひねる。

「平日の朝から、仕事にも学校にも行かずワイドショーを見ている人って、本当に購買力や経済力があるんでしょうか」

「モーニングショー」の出演者はオジサンばっかりと言われるが、谷原だって50歳と十分オジサンである。やっぱり、追いつくのは難しいかなあ。

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