「常に“自分が一番”と思いながら」 女優・のんが明かす“満たされぬ思い”
9/19(月) 10:56 デイリー新潮
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◆オファーは引きも切らず

「去年まで、ほとんど休みなく突っ走ってきたんで、ちょっと疲れたかな」

 所属事務所とのトラブルで本名の「能年玲奈」からいまの芸名に切り替えておよそ6年。女優業の傍ら“創作あーちすと”を名乗る、のん(29)の表情は明るい。

 2016年に声優として主演したアニメ映画「この世界の片隅に」が国内外で高く評価され、数々の賞に輝いたことは周知の通り。さらには監督業にも進出し、今春公開の映画「Ribbon」でメガホンを取った。18年4月には画家として初の個展を開催し、5月にはミュージシャンとしてファーストアルバムもリリースしている。

◆周囲は大御所ばかり

 30歳という節目を控えてなお、幅広い活動を続ける理由は「一度も満たされたことがないから」と笑う。根底には、出世作となったNHKの朝ドラ「あまちゃん」で主人公のアキを演じた経験があるそうだ。

「撮影現場では常に“まだまだ力が足りない”と考えながら過ごしていました。周りは“いつかこんな演技をしてみたい”と思えるような、お手本となる大御所の方ばかりでしたから」

 当時、19歳だった彼女の共演者は小泉今日子(56)をはじめ、薬師丸ひろ子(58)、片桐はいり(59)、宮本信子(77)といったベテランばかり。気付けば野心家になっていたと振り返る。

「その後の音楽活動でも、“レジェンド”と尊敬されるミュージシャンの方々とご一緒させていただきました。目標が余計に高くなって現実が追い付かず、自分で自分にガッカリすることが増えました。でも、その悔しさが糧になっています」

◆自分が一番

 性格は、自他ともに認める負けず嫌いだという。

「映画やドラマを見て“やってみたい”と思うキャラを男性の俳優が演じていると“こういう役を女性が演じることって少ないな”って思っちゃう。その俳優が同世代だと“ずるい”って嫉妬することも。だけど、同時に“私は絶対に負けてないぞ”って思うんです」

 幼少期から目立ちたがり屋だったそうだ。

「そのせいか、常に“自分が一番”と思いながら取り組んでいます。共演者が面白い演技をしていたら、私はそれを上回りたい。気持ちが燃えてくるんですよ」

 そう言って印象深い思い出を披露してくれた。

「幼稚園児の時、みんなで鬼の絵を描くことになり、周りは赤や青色の鬼を描きましたが、私の鬼は真っ黒。先生も友だちも不思議そうでしたが、私は格好いい鬼が描きたかっただけ。思えばそれが私にとっての普通で、当時から“自分はこれが好き”という素直な気持ちを信じてきたように思うんです。そのせいか、何事においても決断に迷ったことはほとんどありません」

◆“バズる”“ウケる”という発想ができない

 最近はテレビやウェブで流れるCMのほか、スクリーンで姿を見る機会が増えた。最新作は魚類学者でタレントのさかなクン(47)の半生を描いた映画「さかなのこ」(公開中)で、女性ながら本人役を演じている。

「当然ですが、どんなジャンルにも自分より詳しい専門家がいますね。そんな人の前では、むやみやたらに“私はこれが好きなんです”って言えない雰囲気がありますが、私はそんなの取っ払って生きていきたい」

 転機をもたらした東日本大震災から10年あまり。のんが演じる主人公の口癖は“じぇじぇじぇ”から“ギョギョギョ”に変化したが、今後も自身の価値観に忠実でいたいと語る。

「ネットで“バズる”とか、誰かに“ウケる”という発想ができないんです。ある時、狙って何かやってもしょうがないと気付いて、だったら“楽しく面白おかしく”とだけ考えています」

(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)

芸能ライター・田辺ユウキ

「週刊新潮」2022年9月15日号 掲載