2022-07-20 18:13

 日本文学振興会は20日、『第167回芥川龍之介賞・直木三十五賞』の選考会を都内で開催し、直木賞は窪美澄氏(56)『夜に星を放つ』、芥川賞は高瀬隼子氏(34)『おいしいごはんが食べられますように』に決定した。

 『夜に星を放つ』は、かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。
学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、人の心の揺らぎが輝きを放つ五編となる。

 窪氏は、1965年東京都生まれ。2009年「ミクマリ」で女による女のためのR‐18文学賞大賞を受賞。受賞作を収録した『ふがいない僕は空を見た』が、本の雑誌が選ぶ2010年度ベスト10第1位、2011年本屋大賞第2位に選ばれる。12年『晴天の迷いクジラ』で山田風太郎賞、19年『トリニティ』で織田作之助賞を受賞している。

 『おいしいごはんが食べられますように』は、仕事+食べもの+恋愛を組み合わせた小説で、職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾の、ままならない人間関係を、食べものを通して描いている。

 高瀬氏は、1988年愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒業。2019年『犬のかたちをしているもの』で第43回すばる文学賞を受賞し、デビューした。

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(最終更新:2022-07-20 18:53)