21世紀最速で自力V消滅の阪神 沈滞ムード一掃へ「ストッパー藤浪晋太郎」待望論


甲子園に開幕投手が帰ってきた、と言ってもピンとはこないか。

31日、阪神の藤浪晋太郎(28)が一軍昇格。4月8日以来のマウンドとなる西武戦で、2点ビハインドの九回を無安打1四球無失点に抑えた。


今季は3月25日のヤクルトとの開幕戦を含む3試合に先発して、0勝1敗(防御率6.00)。
4月中旬に新型コロナウイルスに感染して離脱したものの、復帰後は二軍で4試合14回に投げて失点1、防御率0.64と結果を残しながら、「上の先発ピッチャーがいい形で回っているので、なかなかチャンスがなかった」(矢野監督)と、1カ月以上も二軍での塩漬け状態が続いていた。


今回はなんとか中継ぎ要員としてチャンスを得たが、そもそも藤浪の起用に関しては、元中日監督の落合博満氏が「こういうピッチャーは二軍に行かせちゃダメ。先発させればいい。現状から逃がしちゃいけない」と苦言を呈すなど、首脳陣のハンドリングを疑問視する声があった。

特に矢野監督は先発、中継ぎ、敗戦処理と役割をころころと変え、今回のように二軍に据え置くことも珍しくない。


元横浜監督の権藤博氏も「それが藤浪の復活を遅らせている」と見るひとりで、今季の開幕前には日刊ゲンダイのコラムでこう書いている。

「藤浪はどんな状態でも一軍で投げてナンボの投手。使い切れないのは阪神の問題だ、と私は言い続けてきた。ここ数年、そんな藤浪を持て余して一軍と二軍を行ったり来たりさせておきながら、ちょっと結果が出始めたら『期待してるぞ』と手のひらを返す。虫が良すぎるという思いはあるが、藤浪には堂々と大役を務めて欲しい」


■ハマれば絶対的な守護神になり得る

結局、矢野監督は今年も同じことを繰り返しているのだが、落合氏と権藤氏に共通するのは、“藤浪クラスの投手は、そのポテンシャルに相応しい役割を与え、我慢強く起用するべき”ということである。

「矢野監督が言っているように、現実問題として好調を維持する今の先発ローテ陣に藤浪が入り込む余地はない。だからといって、藤浪ほどの才能をこのまま眠らせておいていいわけがありません。球団内には、“抑え藤浪”は面白いという声がある。ストッパーを任される左腕の岩崎が、防御率2.50と安定感を欠き、直近の登板5試合で2敗を喫するなど、疲れも出てきた。藤浪が制球難の不安を抱えるのは百も承知でそういう声が出るのは、ハマれば絶対的な守護神になり得るから。チームの雰囲気をガラリと変える力があるからでしょう」(球団OB)


この日、藤浪が157キロの剛球を連発すると、敗色濃厚の甲子園には大きな拍手が起きた。
今季13度目の零敗を喫した阪神は借金13を抱え、54試合目にして自力優勝の可能性が消滅。

2000年以降では最速の不名誉記録で、黒歴史を塗り替えた。


ベンチを覆う沈滞ムードは、「ストッパー藤浪」級の大胆な手を打たなければ好転しないのではないか。


https://news.yahoo.co.jp/articles/c773d617ef7734be052422e7db26d5e9da72e180