2022年3月5日

一病息災

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 頭痛に加え、30歳代の半ばから、両耳の難聴にも悩まされてきた。日常生活では、補聴器を使っている。

 きっかけは、任きょう映画の撮影で撃ち殺されるシーンだった。血のり袋が大きな音を立てて爆発するのに、耳栓をつけるのを忘れていた。

 「ババーンと撃たれて、演技が終わって立ち上がったら、ふらふらとめまいがして。以来、ひどい難聴になりました」

 医療機関を受診したところ、耳の一番奥にある「内耳」の損傷が見つかった。

 ステージ上をマイクを持って走りながら歌っていた時代。走ると、床がまるで波打ったように感じ、立ち止まってもまだ観客席が揺れていた。バンドのメンバーも気づかない。平気なふりをして歌い続けた。

 「言っても仕方がないし、僕自身も、そんなに重い病気とは思っていない。お客さんには『宇崎さん、楽しんで歌っているな』と見えていたと思います」

 ただ、大きな音を聞くと倒れてしまいそうになるため、クリアな音でボリュームを少し下げるなどの配慮をしてもらったこともある。

 困ったのは、いくつものバンドが次々に登場する野外フェスだ。最後に全員で歌うシーンでは、「自分のバンドのセッティングではないので、演奏が始まったとたん、大音量で耳が『ぶわ〜〜ん』となってしまって。そんな経験も何度かしました」。


音楽家 宇う崎ざき竜りゅう童どうさん(76)

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220221-OYTET50003/