2022年1月21日

今も一定以上の人気と知名度を誇る、終わらないコンテンツ『東方Project』。そんな同シリーズの主人公・博麗霊夢が『ローソン』の店内放送に登場したものの、ネット上では《声がイメージと違いすぎる》などと言われてしまっている。古の時代から続く「東方」シリーズ特有のジレンマと言えるだろう。

話題になったのは、スマートフォン向けアプリゲーム『東方ダンマクカグラ』のキャンペーンを告知する店内放送。同ゲーム内で博麗霊夢役を務めている声優・湯浅かえでが、そのままキャラクターボイスを担当していた。そのため「東方ダンマクカグラ」のユーザーにとっては、馴染みのある声だったのかもしれない。

ただ、ZUN氏が世に送り出した本家本元の弾幕シューティングゲームには、そもそもキャラクターのボイスが存在しない。“博麗霊夢の声”もファンによって解釈が異なるのが実情だ。

そうした事情から、今回の店内放送についても《ローソンで宣伝してる博麗霊夢の声がイメージと違いすぎて笑っちゃった》《ワイの霊夢はこんなかわいい声じゃない》《ローソンで流れる例のボイスを初めて聞いたが、やはりイメージが違うな》《私の中の霊夢はもっとダウナー系な喋り方なのよね》《自分のことを霊夢だと思ってる一般女性》といった声が上がっていた。





YouTubeの「ゆっくり霊夢」による影響も

「博麗霊夢の声」に対する違和感は、声優の演技がどうこうではなく、「東方」シリーズ特有の問題。ある種の“時代の象徴”とまで称される「東方」シリーズでは、これまで多くの二次創作が作られてきた。

その中では、プロ・アマチュア・人間・人工音声を問わず、多くの人(?)が東方キャラクターに声を当てている。つまりファンにとっての「博麗霊夢の声」は全体で共有されているものではなく、個人個人で解釈が異なるのだ。

実際に「ローソン」の店内放送を受けて、「自分の中での博麗霊夢のCV」を挙げる人も少なくない。とくに多いのは、いわゆる「ゆっくり霊夢」についての言及。これは「ゆっくりボイス」などと呼ばれる音声合成ソフトを利用した人工音声で、YouTubeの解説動画で1つの文化を築き上げている。

おそらく比較的若い層の中には、「東方は知らないけどゆっくり霊夢は知ってる」という人も多いはず。そう考えると、今後も霊夢役を演じる声優と「ゆっくり霊夢」の戦いは激しさを増していきそうだ。

文=大上賢一

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