2021年12月31日
まいじつエンタ

『ONE PIECE』『鬼滅の刃』『進撃の巨人』…なぜ九州から歴史的作品が生まれるのか?

『ONE PIECE』に『鬼滅の刃』、『進撃の巨人』…。いずれも社会現象クラスのヒット作だが、その作者たちには1つの共通点がある。実は全員がそろって九州出身なのだ。今や九州は多くの売れっ子を輩出する“漫画家大国”となりつつあるらしい。

「ONE PIECE」の作者・尾田栄一郎は、熊本県熊本市出身。2016年に熊本地震が発生した際には、すぐさま支援のメッセージを発信し、現在も積極的に復興プロジェクトに取り組んでいる。

また、「進撃の巨人」を生み出した諫山創の出身地は大分県。生まれ故郷である大分県日田市は今や“聖地”と化しており、エレン、ミカサ、アルミンの銅像が設置されている。ちなみに諫山がデビュー前にアシスタントとして師事していた漫画家の佐藤友生も、福岡県北九州市の出身だ。

また、九州で最も人口が多い福岡県では、多数の人気漫画家が生まれている。『ちはやふる』の末次由紀、『GANTZ』の奥浩哉、『東京喰種トーキョーグール』の石田スイなど、錚々たる面子。さらに「鬼滅の刃」の吾峠呼世晴も福岡出身だ。

他にも、佐賀県は『キングダム』の原泰久、長崎県は『弱虫ペダル』の渡辺航の出身地。最近の漫画業界で存在感のある作家たちが九州地方に集中しているところを見ると、 “時代は九州”と言っても過言ではないだろう。


九州だけじゃない? 元祖「漫画家大国」は…

しかしこれまで漫画通の間では、新潟県こそが「漫画家大国」だと言われてきた。実際に新潟からは、『ドカベン』の作者である水島新司や、『うる星やつら』や『犬夜叉』の高橋留美子といった漫画史に名を刻む大作家たちが生まれている。

他にも、『パタリロ!』の魔夜峰央や『頭文字D』のしげの秀一、『るろうに剣心』の和月伸宏、『ヒカルの碁』の小畑健、『1・2の三四郎』の小林まことなども新潟出身。近年ヒット作を手掛けた漫画家としては、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の赤坂アカも新潟県佐渡市が故郷だという。

なぜたった1つの県に、これだけの人気漫画家が集中していたのだろうか。その理由としては、新潟の地理的な条件が関係しているという説も。豪雪地帯であるため、家の中で負担なくできる絵描きを趣味とする人が増え、結果として漫画家が生まれやすくなったという考え方だ。

しかし近年ではテクノロジーの発展により、ゲームやパソコン・スマホの普及率は各段に上昇。外に娯楽がなくても、家の中で手軽に暇をつぶせるようになった。それによって、新潟は漫画家を生む文化的風土を失いつつあるのではないだろうか。

とはいえ、なぜ最近のヒット作家に九州出身が多いのかは不明。そこに秘められた謎を解明すれば、才能のある漫画家を人為的に生み出す“漫画家大国プロジェクト”が可能になるかもしれない…。

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