11/22(月) 16:01
週刊女性PRIME

きまぐれクックも『裁かれる』!? 特定外来生物「上海ガニ」騒動“罪”の重さ
かねこさんは活動休止動画の中でカニのポーズを取り、この騒動の件ではないことを強調していた(YouTubeチャンネルより)
 魚介類を調理する動画が人気のYouTuber「きまぐれクック(チャンネル登録者数461万人)」かねこさん。11月19日、自身のYouTubeチャンネルで活動の休止を宣言した。

 同動画によると理由は3つ。

 まずは第一子が誕生し、その育児休暇をとること。2つ目は健康診断をするなどを行い、身体と心のケアすること。3つ目は動画を投稿するメーンチャンネルの大リニューアルだという。

 この休止について冒頭からかねこさんは何度も念を押し、丁寧に説明していた。
上海ガニを巡って騒動に

「例の件じゃないかと思う方がほとんどだと思うんですよ。変な憶測が出る前に最初にはっきりと言っておきますけど、(カニのポーズをとり)今回のこれの件とは全く関係ありません」

『例の件』とは日本では一般的に「上海ガニ」と呼ばれる「チュウゴクモクズガニ」を調理した1本の動画を巡る騒動のことを指す。

「捌(さば)いていく!」のかけ声とともに魚を調理する、そんな彼が「裁かれる」かもしれない事態に陥っているのだ。

 かねこさんは10月31日に《中国からまだ生きている『アノ食材』が届いた。ヤバすぎる。》と題した動画を投稿(現在は削除)。ヤフーオークションで購入した上海ガニを調理する様子を公開した。

 だが、一部の視聴者から「上海ガニは『特定外来生物』に指定されている。許可がなければ特定外来生物法に触れるのではないか」と指摘する声が上がったのだ。

 動画投稿当時、かねこさんはこれらの指摘に対し、反論。その後は無視を続けた。

 しかし、事態を重く見た視聴者の1人が11月3日、“駆け込み寺”として注目されるYouTuberコレコレさんの生放送に出演、状況を相談。それが話題となると、かねこさんは非を認め、11月4日、13日にそれぞれ謝罪の動画を投稿した。

「上海ガニは日本でも人気の中華料理の高級食材。調理されている状態での売買や譲渡なら問題はないのですが、かねこさんのように食べることを前提にしていたとしても、許可がない人が生きたままの状態で購入、もしくは譲り受けることは法律で禁止されています。

 かねこさんは当初“ネットで買える”と反論していましたが、許可を持っていなければ違法には変わらない」(動物事情に詳しいライター)

 購入者が無許可であることをおそらく知りながら販売していた業者にも当然、非はある。上海ガニの取り扱いに慎重になり、許可が必要なことには理由がある。環境省の担当者に聞いた。

「特定外来生物には海外が起源の外来生物で日本の生態系や農林水産業への被害、また人間の生命などに影響を及ぼすもの、及ぼす恐れがある生物が指定されています。外来生物法ではそれらを輸入、飼育、販売、保管、運搬、譲渡することを原則として禁止しています」

 生きたままの上海ガニを購入し、飼育、もしくは無許可で養殖する人もいるかもしれない。上海ガニが逃げ出したり、飼いきれなくなり野に放ってしまったりすることがないとは言い切れない。

「“全部、食べられるなら問題ない。1匹くらいなら大丈夫”ではすまされません。もし上海ガニが逃げたら日本国内で繁殖することも十分考えられます」(前出・環境省の担当者、以下同) 

 上海ガニは移動能力と適応能力が高く、日本のあらゆる地域に定着できるという。

よくも悪くも影響力のあるインフルエンサー

 では具体的にはどのような被害が考えられるのか。

 まず、自分よりも身体の小さい在来の水辺の生き物を捕食し、その住処を奪うことが考えられる。似たような在来のカニ類と競合すれば、その生態すらも脅かされる。川や湖の生態系までもが変わってしまう可能性があるのだ。

 さらに上海ガニは日本在来のモクズガニとの交雑も可能とされており、交雑種の増加は在来種の絶滅につながる生態リスクを伴う。

https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/r/iwiz-amd/20211122-00022534-jprime-000-1-view.jpg
https://news.yahoo.co.jp/articles/58353f874d5848effb13e65311ebe0ac8c6b94cc