今や誰しもがスマホやタブレットを持つ時代。動画配信サービスや動画投稿サイトも充実し、移動時間や空き時間に気軽に動画を視聴することができるようになりました。コンテンツが豊富になる中で、「忙しくて映画1本は見られない」というニーズに応えるかたちで広まったのが「ファスト映画」です。なじみのない読者もいるでしょうが、「ファスト映画」というのは1本の映画を10分程度に編集し、解説を加えるなどしたものです。

 しかしこの「ファスト映画」は犯罪です。今月、刑事事件として初の司法判断が下されました。

 今回の刑事事件は、被告人ら男女3人が、2020年6月から7月ごろまでの間に、東宝など13社の映画製作会社が著作権を有する作品を「ファスト映画」にしてYouTubeにアップロードしたとして起訴された著作権法違反の事件でした。

 そして今月16日、仙台地方裁判所は、「ファスト映画は映画の著作権者が正当な対価を収受する機会を失わせ、映画の収益構造を破壊し、映画文化の発展を阻害するものである」として「ファスト映画」の犯罪性を認め、主犯格の男に対し、懲役2年、執行猶予4年及び罰金200万円の判決を言い渡しました。

 さらに判決では「本判決等により、ファスト映画の違法性が一段と周知された後もファスト映画の作成や公開が横行するのであれば、その量刑傾向は重い方向にシフトすべきである」とも述べられており、今後さらに厳しい態度で臨むべきであると言及されています。

 確かに視聴者のわれわれからすれば、「ファスト映画」はあったら助かるコンテンツという側面があります。最近ではYouTubeでも「切り抜き動画」なども増えてきています。一方で「ファスト映画」を作成する側も、視聴者のニーズに応えようと考えていたのでしょうし、他の人もやっているから大丈夫と思って踏み込んでしまったのかもしれません。

 しかし、動画コンテンツは、あくまでも元の著作者の権利であって、勝手に利用することは原則的に認められません。軽い気持ちで動画投稿をすると重い刑事罰や何千万円にも及ぶ損害賠償責任を負うことにもなりかねないことを知っておいてください。

日刊ゲンダイ 11/21(日) 9:06わ
https://news.yahoo.co.jp/articles/6b774bb39fb887434650ae8439b2ee7c8f518761 

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