どこまでも話題の尽きない男である。

11月4日、清田育宏(いくひろ)(35)が元所属先である千葉ロッテマリーンズを提訴し、東京地裁で第1回の口頭弁論が行われたことが明らかになった。清田は「契約解除処分は解雇権の乱用」とし、球団選手としての地位確認と、慰謝料など約9700万円を求めている。

清田が訴状を提出したのは今年9月30日である。なぜわざわざ、優勝争いの真っ只中に訴訟を起こしたのか。清田の携帯に電話すると、

「しゃべりたい気持ちはあるんですけど、でもやっぱりちょっと……。弁護士を通してください」

とのこと。そこで、清田の代理人を務める旬報法律事務所の大久保修一弁護士に聞いた。まずは、訟訴の内容について。

「球団側に求めていることは、@地位確認A5月23日から提訴までの未払い報酬約2100万円B10月から来年12月までに支払われるべき報酬C慰謝料1100万円の4つです」

訴訟に至った経緯については、次のように説明した。

「1月の無期限謹慎処分の前から、清田さんは選手会を通じて球団側と話し合いをしていました。しかし球団は、団体交渉に誠実に対応せず、無期限謹慎処分を下したうえ、5月には一方的に契約解除に踏み切った。これは不当労働行為であり、法律上許されないことだと考えています。

清田さん個人の代理人である我々も、6月に内容証明を送り、球団側と話し合いを重ねていましたが、こちらについても8月中旬に球団は一方的に交渉中止を通達してきました。話し合いでの解決が難しい以上、提訴という形を取らざるを得ないという結論に至りました」

ロッテは本誌の取材に、

「係争中のためコメントを差し控えさせていただきます」

と回答した。

今後、争点となる契約解除の違法性について、労働問題に詳しい弁護士法人・響の古藤由佳弁護士が語る。

「解雇権乱用を主張するならば、清田氏が球団に雇用された労働者だったことが前提になります。しかし、年俸の決定を保留したり、練習スケジュールの自由度が高いことを考えると、一流のプロ野球選手は一般的に個人事業主としての性格が強いと言われます。

また、仮に労働者と認められたとしても、『解雇権乱用』とまで言えるか。国全体で感染拡大を防ごうという時期に、感染リスクを考慮しない行動を繰り返したことは、重大な非違行為であることは否定しがたく、球団側としても清田氏を許すことで、『そういう行為を認容する球団なのか?』とコンプライアンスに対する姿勢を問われることにもなる。清田氏にとっては、難しい裁判になるという印象です」

いずれにせよ、ロッテが清田に対し怒り心頭なのは間違いないだろう。これだけの騒ぎを起こした男を獲得したいと考える他球団が現れるとも思えない。

だがそれでも、清田は復帰を諦めていないという。ロッテを契約解除になった後、清田をサポートしているG.G.佐藤氏が明かす。

「今でも月に1〜2回、清田の練習に付き合っています。しかしその私も、11月4日に口頭弁論が行われることは知らされていませんでした。どうやら本人も忘れていたみたいで。これほど大々的に報じられることも想像していなかったようです。そのへんは本人の甘さですが、野球小僧がそのまま大人になったような人間ですからね」

佐藤氏の目から見て、清田にはまだプロで通用する実力があるようだが……。

「今回の裁判が復帰にどう影響するかは私にも清田にもわかりませんが、現時点でオファーは一切ありません。私としては、区切りをつける意味でも、悔いがないようやりきったというところまでは清田をサポートしたいと思っています」

12月8日には12球団合同トライアウトが行われる。清田本人に出場の意向について取材すると、

「ぜんぜんわからないです」

と語った。

清田の行く末はいかに。本誌は今後も清田裁判を詳報していく。

FRIDAY 2021年11月21日 10時0分
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