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2021/09/18 9:00
「これにサインをしてくれませんか」尿酸値14.8でも痛風にならない映画監督が医師から頼まれたこと
酒が飲みたくて映画監督をしている
PRESIDENT Online

樋口 真嗣
映画監督

映画監督の樋口真嗣さんは「酒が飲みたくて映画の仕事をしている」というほどのお酒好きだ。5年前、人間ドックで「尿酸値14.8mg/dL」という数値が出ると、医師から「これにサインをしてくれませんか」と切り出された。樋口さんがサインをした内容とは――。
※ 本稿は、キンマサタカと全日本痛風連盟編『痛風の朝』(本の雑誌社)の一部を再編集したものです。






高い尿酸値だけど痛風にならない特異体質

実はですね、私は厳密にいうと痛風じゃないんです。尿酸値が高いのは間違いないけど、痛風=発作が出たことだと定義するなら、私はそれにあてはまらない。

自分の尿酸値の高さにはじめて気づいたのは5年前です。

人生で初めての人間ドックに行ったんですが、終わった後の問診をしていたら、私のカルテを見た問診の先生が興奮しているのがわかったんですね。

すると内線でどこかに電話をかけた。すぐに違う医師がやってきて、自分には見えないようにカルテを挟んで、ごにょごにょ言っているわけです。

二人はこちらを見て「これにサインをしてくれませんか」と言う。なにこれと思いますよね。そうすると「いや大丈夫」「いいことだらけなんで」と僕を説得しようとしている。明らかにおかしいじゃないですか。





「高尿酸値の不健康な人間」を探していた医者

聞けば、あとから部屋に入ってきたのは日本で3本の指にはいる循環器科の先生で、「尿酸値を下げる」というテーマで論文を書いているんだとか。臨床データをとるために高尿酸値の患者を探しているのかもしれないと私は思いました。

一般的に尿酸値があがると痛風の発作が出て、薬を飲むので数値が下がってしまいます。だから高い数値をキープしている人って少ないらしいんです。

研究者たちは高い尿酸値の実験台を手に入れたい。高ければ高いほど、数値の変化がわかりやすいんでしょうね。

ちなみに、その時の私の尿酸値は14.8(mg/dL)でした。一般的に7を上回ると痛風の危険があると言われているんですが、私は全く痛風の発作が出てない。

先生は尿酸値が高い人を常に探していて、院内に「高尿酸値の不健康な人間を見つけたらご一報ください」と網をはっていたのかも。察するにそこに私がひっかかったのではないかと。

とびきりの高い数値で、生活も不規則で、改善の気配もない。仮説を立証するには申し分ない。

想像だけが膨らんで最初は不安でしたよ。そもそも自分がそんな体質だったことも知らなかったし、なにより不便もありませんでしたから。でも、痛風の危険性をとうとうと説かれ続けると、だんだん不安になるわけで、定期的に検査もしてもらえるということで、まあいいかなと。それから処方された薬を飲むことになりました。

飲み始めて数週間で、なんと尿酸値は4まで下がりました。薬ってすごいですよね。

私の尿酸値を劇的に落とす理論を提唱した先生はどうなったかというと、アメリカの大学に留学することが決まりました。きっと私のデータで完成した論文が認められたのでしょうね。

     ===== 後略 =====
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