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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』や劇場版『Gのレコンギスタ』のヒットで盛り上がるガンダム。初の実写化作品がNetflixで全世界配信されることが4月に発表されるなど、ワールドワイドに。そんな状況を"生みの親"富野由悠季(とみの・よしゆき)監督はどう見ている?御大が約2時間にわたり語ったのは自身の老い、知られざる原点、そして「ガンダムの世界」の未来だった! あと、ついでに「ワクチンはもう接種しましたか?」と聞いてみました。

――ところで、コロナのワクチンは打ちました?

富野 6月に2回接種しました。打ったらホッとはしますよ。これだけテレビで騒がれてりゃ。

――副反応はありました?

富野 僕は3〜4時間、体が重ったるいなっていうのがあったくらい。でも、友人は2日寝込んだと言っていた。まあ、抗体が身につくというのは、生体そのものを強化するということだから......50万、100万人も打っていれば、その中に不適合者が出てくるのは当たり前でしょう。なので、一部の世論のようにとがって非難するつもりもありません。

中略

富野 映画の『閃光のハサウェイ』には一切関与してません。これは僕の主義もある。映画という媒体は最終的には監督のもの。だから口出ししてはいけないと思った。

でもね、同じスタジオ(サンライズ)の同じフロアで仕事をしているわけだから、言おうと思えば、つべこべ言えちゃう。例えば『閃光のハサウェイ』の絵コンテをこんなふうに机にバーン!と叩きつけて(富野監督、週プレを机に叩きつけながら)「これ、何さ? おまえ、原作読んでないよね!?」って言えてしまう。『Gのレコンギスタ』がなかったら、騒動を起こしていたかもしれません。勝手に絵コンテを描き直して、「これでやれ!」って(笑)。

――『閃光のハサウェイ』はご覧になられました?

富野 率先して見るつもりはありませんでした。でも、原作者の業務として見なければならない。なので公開前にきちんと見ています。

――ご感想は?

富野 関与していない作品なので感想は言えません。意見を言えば、良きにつけあしきにつけ、マーケットに対して偏見を与えることになりますからノーコメントです。

――なるほど。ところで富野監督は『海のトリトン』(72年)で初めてテレビアニメシリーズの総監督を務めましたが、『トリトン』には手塚治虫先生の原作漫画がありましたよね。『トリトン』製作時に手塚先生からこうしてくれ、と言われたことはありましたか?

富野 あるわけない。手塚先生は、当時ナンバーワンの漫画家です。僕にとっては尊敬する作家でもある。でも、あれだけ多数の作品を世に送り出していれば、作品に出来不出来はある。そして、『トリトン』は不出来な作品だったので、徹底的に作り直す、文句あるか!という態度で挑みました。

そのことに対して手塚先生からのクレームなどは一切ありませんでしたよ。それどころか原作漫画は、連載当初は『青いトリトン』というタイトルだったんだけど、アニメが放送され、単行本が出たときには『海のトリトン』になっていた。それを見た瞬間、手塚先生が自分の仕事を認めてくれた、と思いました。

そういえば『トリトン』を作り終わった後、先生にじかに会ったんです。ある映画の試写会で。上映が終わった後、手塚先生が2mくらい先から僕の顔を見て、「(今の映画)ひどかったね!」って。第一声がこれです(笑)。こうやって声をかけてくれたのは、僕が『トリトン』をやってたことを知っていたからだろうと感じました。

――でも手塚先生は、監督の『トリトン』に対してクリエイターとして意見は何か持っていたのかもしれませんね。

富野 そりゃそうです。映画はよく見る人だから。

――それを言わなかったのは手塚先生の覚悟ですよね。富野監督は、そのときの手塚先生と同じ立場・姿勢を「ハサウェイ」に対して取っているように見えます。

富野 なるほど......ありがとうございます。今、言われて初めて気づいたんだけど、そうか、僕は手塚先生と同じ立場になっちゃったんだな。それは大変うれしいことなんだけれども......イヤだなぁ(両手で顔を覆いながら)。そういう年齢になっちゃったんだなぁ。そうよね、もうすぐ80歳なんだし!

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